784: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/16(日) 00:01:22.36 ID:PU+Tw3fzo
しかし、その槍は到達する前に吹き飛ばされた。黒夜の小さな体もろとも。
黒夜「ごぱァッ――!?」
黒夜の横腹へ鈍器で殴られたような重い一撃が叩き込まれた。取り付けられたビニール質な義手の半数が粉砕される。
薙ぎ払うように打撃を受けた黒夜の小さな体は宙に浮き、二〇メートルほどの長さのある通路上空を飛び、その先にある壁へと叩きつけられた。
??「ったく、誉望も心理定規(メジャーハート)も二人してよお、こんなクソガキに遊ばれてんじゃねえっつうの」
黒夜を吹き飛ばした男が、海美の前へと立つ。
震える体を動かして、海美はその姿を目の当たりする。
海美「……かき、ね……?」
垣根「よお心理定規。命拾いしたな」
憎たらしい笑顔の垣根を見て、海美は薄く笑った。
垣根「時間があんま残ってねえ。さっさとここを脱出すんぞ? もうここは用済みだ」
海美「たお、せたの? だいいちい、は……」
垣根「……聞くんじゃねえよ」
海美「ふふ、ごめ、んなさい……」
垣根の六本の翼のうち二本が変形する。
先端が五つに分かれて一本一本が独立して動く。その姿まるで巨大な手だった。
翼で作られた白い手は、それぞれ海美と誉望の体を包み込み、垣根の元へと引き寄せる。
垣根「全開で上へ飛ぶぜ? あまりに速すぎてションベンちびらせんなよ?」
海美「……ほんと、あなたって、でりかしー、ない、わよね」
残り四本の白い翼を羽ばたかせる。通路内に爆風が巻き起こる。
上にある全ての天井を突き破るような勢いで、垣根たちは急上昇していった。
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