結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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783: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:59:39.82 ID:2z6G7I5Go


 少年院地下三階。地下四階へと繋がる階段の前の広場。獄彩海美は壁にもたれ掛かるように床へ座り込んでいた。
 彼女着ている綺麗なピンク色のドレスは、見る影もなくボロボロにされていた。
 肩紐が片方切れており、首に付けていたアクセサリーの装飾品の一部が、千切れたのか穴あき状態になっている。
 激しく動き回ったのかサンダルが片方脱げていた。そんな中、一番目立つのは横腹に負っている怪我だろうか。
 大量の血液が湧き出てきているのか、ピンクのドレスはそこだけ真っ赤に染まっていた。
 だらりと下がった彼女の右手の先には壊れた端末と、その部品が撒き散らされている。

 そんな海美を見下ろしている少女がいた。
 黒いパンク系の服で身を包んだ十二歳くらいの少女。少女の左腕は肘から先が無くなっており、先端から赤い液体が床にポタポタと落ちていた。
 その代わりなのか両脇腹へ二〇本近い数のビニール質な義手が取り付けられている。それらはマネキンが球体関節に依らず動いた様な動きで蠢いていた。
 黒夜海鳥。暗部組織『グループ』の構成員の一人であり、先ほどまで海美と交戦していた少女だ。


黒夜「あはぎゃはっ、最後の最後にドラマチックで泣かせるセリフ吐いてくれンじゃねェか。ま、最高のタイミングで端末ぶっ壊してやったから、向こうには届いてねェだろォけどなァ?」


 黒夜は嘲笑う。
 しかし、海美は死んだような目付きのまま、それには反応しない。



 『AIMジャマーのメンテナンスが終わりました。AIMジャマー再起動まで残り四〇秒です。繰り返します――』。



 少年院内に流れるアナウンス。
 それを聞いた黒夜はニタニタと笑いながら、


黒夜「さて、そろそろ私も脱出しねェとヤベェよなァ? 土御門は全部終わったっつってたから、私がここにいる意味もねェし」


 そう言って黒夜は右掌を海美の頭へ向けてかざす。
 シュー、という音とともに掌へ窒素が集まっていく。


黒夜「今からオマエと、あそこで気絶してる誉望とかいうカスへ、サクッと止めを刺してここから脱出するンだけどよォ。オマエは意識まだあるみてェだし、辞世の句とかあンなら聞いてやってもイイぜ?」


 黒夜は後方で倒れている血塗れの状態の誉望へチラリと目配せした。
 少女の持ちかけに対して、海美は瞳だけぎょろりと動かし、掠れたような声で応える。


海美「……くたばれ」

黒夜「最高の言葉だ」


 黒夜の掌に窒素で出来た透明の槍が発生した。
 その槍が射出される。海美の脳天へと目掛けて。





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