766: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:45:18.11 ID:2z6G7I5Go
美琴「ねえ。電磁波レーダーって知ってる?」
馬場「あが、あがが、がが、あば、ばばが」
美琴が発した電撃波で舌がしびれて、うまく喋ることが出来ない様子だった。
だが、気にせず美琴は話し続ける。
美琴「周囲に発した電磁波が物体に接触したときの反射波を利用して、周りの空間を把握できるってヤツなんだけど」
モスキートの入った入れ物の中身を覗き込みながら、
美琴「これがどういう仕組みかよく知らないけど、私の電磁波レーダーを掻い潜れるみたいね。あの子をさらった犬みたいなロボットも同じ仕組みかしら?」
「ま、でもそんなこと関係ないわよね」と付け加える。
美琴は再び、地面に座り込む馬場へ目を向けた。
美琴「だって、レーダーで丸分かりだったんだもの。これを必死こいてポケットから取り出そうとしているアンタの間抜けな動きがね」
馬場は感じ取った。自分ではどうしてもできないという無力さを。圧倒的な力を前にした絶望を。
どんな能力者も徹底的に分析し、適切な対策を取れば倒せると思っていた。支配できると思っていた。
しかし、現実は違う。自分たちの張り巡らせた小細工を規格外のチカラでねじ伏せる。
既に負けていたのだ。超能力者(レベル5)を、学園都市が作り出した怪物を敵に回した時点で。
美琴「私、たしかあの時言ったわよね? 私の目の前や大事な友達の周りで一瞬でもあのロボを見かけたなら、アンタがどこにいようと必ず見つけ出して、潰すって」
過去に通信回路越しで言った忠告を、再度馬場へ突きつけた。
クシャクシャに歪めた馬場の顔から、目から、鼻から、口から、汚らしい体液が流れ出る。
美琴「けど、私だって鬼じゃないわ。こちらの条件を飲んでくれるなら、助けてあげないこともないわよ?」
馬場「ッ!!」
美琴「打ち止めの居場所を教えなさい」
馬場に与えられた救いの手は、メンバーを裏切らないと掴むことが出来ない残酷なもの。
メンバーを裏切るということ=統括理事会を裏切ること。つまり、学園都市そのものを敵に回すということ。
苦渋の決断。前門の虎、後門の狼。
人生の岐路に立たされた馬場は、口を震わせて歯をガチガチと鳴らす。
美琴「ただし、もし教えないという選択肢を取ったり、嘘を教えるなんていう裏切りがあったり、あの子がもう無事じゃないなんていう笑えない冗談を言うようなら」
美琴が手に持った入れ物を自分の目前に持っていく。
グシャリ。
握力だけでそれをへし折り、砕く。
美琴「――殺すわよ」
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