762: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:41:58.89 ID:2z6G7I5Go
博士「――ま、まさか貴様っ、オジギソウをビリヤードの玉のように弾いて、あの工場に開いた穴から外へ全て放出したと言うのか!?」
博士「ありえん!! ナノサイズの粒子だぞッ!? たしかにそれが物理的な現象であれば不可能はない!! しかし、その計算結果を導き出すためにどれだけの情報量がッ、天文学的な数字がッ、それを再現する技術がッ!?」
はぁ、と数多はため息をつく。
数多「もういいか?」
博士「ッ!?」
数多はズボンのポケットに手を突っ込みながら、ゆっくりと博士のいる方向へと足を動かす。
その足取りは軽く、まるで近くのコンビニにでも行くかのような気軽さを感じる。
博士「糞ッ!!」
オジギソウは全て建物の外。呼び戻すには時間が足りなさ過ぎる。
目の前の化け物と戦えるような手段が全て消えた。そう思った。
だが、博士は気付く。まだ終わりではないことに。
博士「――馬場ァ!! グレートデーンで私を守れ!! カスタムもだッ!!」
小さなコンテナの上で寝ている少女の隣に佇んでいる、犬型のロボットへ命令する。
あのロボットは常に馬場という少年と通信が繋がっており、こちらの状況がモニタリングされているはずだ。
他の一〇〇近い数がいるロボットは基本自動操作の為、あのロボットを操作して援護する余裕くらいあるだろう。
イヌロボ『…………』
しかし、犬型のロボットは答えない。
博士「何をしている!? 馬場ァ!!」
イヌロボ『…………』
やはり、犬型のロボットは応じない。
妙だと思い、博士はそのロボットを目を凝らして観察してみる。
起動中は絶えず点滅しているはずの頭に付いたサングラスのようなセンサーが、全くと言っていいほど点滅していない。
まるで、電源が切れているような。
ふと、博士は気付いた。
この倉庫内は、木原円周と一〇〇近いガトリングレールガンという兵器を搭載した犬型のロボットが交戦している場所だ。
絶えず爆発音や、金属がこすれ合うような音、コンクリートが砕けるような音が響き渡っていた。
ビルの解体現場の隣とは比べ物のならない騒音地帯のはずだ。はずなのに――。
静かだった。今まで聞こえなかった夜風の音が聞こえる。
博士は辺りを見回した。
機能が停止して、電池の切れた玩具のように床に転がっている一〇〇近い数の犬型のロボットがいた。
博士「なっ」
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