760: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/15(土) 23:40:15.24 ID:2z6G7I5Go
博士「どんな物語にも道化は必要ではないかね? 木原数多君」
数多「うっとおしいジジイだ」
博士「ところで、呑気に私などと談話などしていていいのかね?」
数多「あ?」
いつの間にか博士の手には携帯端末が握られていた。
博士「そういえば、君は以前馬場君と戦ったときに、敵と仲良く談話していて形勢逆転されてしまった彼のことを、間抜けなヤツと称していたな」
ザッ。
木原数多の周りで何かが動いた。だが、そこには何もないように見える。
しかし、それはたしかにそこにある。まるで数多の逃げ場をなくすように、取り囲むように。
博士は笑う。
博士「――今の君も、同じく間抜けだよ。木原君」
瞬間、数多の数メートル先の床に転がっていた査楽が絶叫した。
査楽「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」
査楽の両足の膝から先が無くなっていた。
いや、無くなったのは肉だ。皮だ。血液だ。
少年の足は、履いていたジーンズと靴と骨だけになっていた。
数多「『オジギソウ』か。相変わらずの趣味の悪さだな」
数多はその光景を見て、吐き捨てるように言った。
博士「知っていたか。特定の周波数に応じて特定の反応を返すナノサイズの反射合金の粒だ。その粒一つ一つが、接触するだけで細胞をバラバラに引き剥がし、骨と服だけしか残さない優秀な清掃道具だ」
博士「オジギソウは今の君を取り囲むように配置してある。ネズミ一匹逃げられるような隙間もない。君は終わりだよ」
触れたら死ぬ檻に閉じ込められる。今の数多の状況を端的に表すとこうか。
だが、その檻は動く。数多の安全地帯を狭めるように、殺意は最終的に数多を包み込む。
絶体絶命とも言えるような状況で数多は、
数多「……なぁ、ジジイ。ビリヤードって知ってるか?」
世間話のようなことを始めた。
博士「ビリヤード? キューで球を打って一五個の玉を穴に落とすゲームのことか?」
数多「そうだ。俺あのゲーム好きでよくやるんだよな」
博士「……何のつもりだ? そんな突拍子もない話を始めて」
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