結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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754: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:54:31.30 ID:Q+V+Oj11o



フレンダ「浜面ッ、避け――」


 ドグシャ!! 鉄パイプが振り下ろされる前に、男の頭部がコンクリートの壁に叩きつけられた。
 同じアイテムのメンバーである絹旗最愛が、獣のような表情をして拳を男の顔面に叩き込んだからだ。
 鉄板をも容易に貫く絹旗の拳を受けた男の頭は、砕け散ってザクロのように赤い物体を周りに撒き散らした。


絹旗「調子に乗ってンじゃねェぞ、クソザコ野郎がッ……!」


 吐き捨てるように言った絹旗は、視線を男だったものから床に倒れ込んでいるフレンダたちへ向ける。


絹旗「超大丈夫ですか? 二人とも」

フレンダ「う、うん」

浜面「あ、ああ、助かったぜ絹旗……」


 そう言って浜面はゆらりと立ち上がった。それを追うようにフレンダも立ち上がる。
 別の場所にいた麦野と滝壺が、騒ぎを聞きつけたのかこちらへと駆け寄ってきた。


麦野「おーおー浜面クーン。随分と男前な面になったもんだねー」

滝壺「大丈夫? 血が出てる」


 滝壺はポケットからハンカチを取り出して、それを浜面へ差し出す。
 それを受け取った浜面が薄く笑って、


浜面「……あ、ありがとうな、た、きつ、ぼ……」


 浜面仕上の意識が消え、体が床へと倒れ込んだ。


滝壺「はまづら……!」

麦野「あっちゃー、当たりどころが悪かったのかねー? 絹旗。下部組織に連絡してここの後始末の指示と、浜面の代わりの運転手を一人こっちに寄越させなさい」

絹旗「了解です」


 アイテムのメンバー三人が忙しなく、手際よく動いている中、フレンダは倒れた少年を呆然と見ていた。


フレンダ「…………」


 フレンダは考える。
 この少年が怪我をしたのは自分のせいなのではないか、と。
 普通に考えれば、あんな隠れる場所が多くある物置に伏兵がいないわけがない。例えいなかったとしてもいる前提で行動するべきだ。
 フレンダはそこまで考えられていなかった。いつもなら絶対にやらないミスだ。
 そのミスのせいで、この少年は怪我を負った。下部組織の下っ端だとはいえ、仲間を危険に晒した。

 私のせいで。私のせいで。私のせいで。私のせいで――。


―――
――






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