結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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741: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:38:53.01 ID:Q+V+Oj11o


 ゴシャン!!


 覗き込んでいたスコープごと、磁力狙撃砲が弾け飛んだ。


砂皿「ごっ、がああああッ……!?」


 砂皿の体は建設途中のビルの足場にのたうち回るように転がっていた。
 右腕に傷を負ったのか血でにじむ長袖を左手で抑えている。
 爆散した磁力狙撃砲に巻き込まれたのだろう。


砂皿(……まさか、狙撃されたのか!? この私が!?)


 あの一瞬の出来事から砂皿はそう推測を立てる。
 彼女は銃火器を持っている様子はなかった。手ぶらだ。つまり、彼女は何かしらの能力者だということ。


砂皿(チッ、いずれにしろ場所が割れている以上、ここに居座る道理はない。撤退だ)


 側に置いていた大きな鞄を開け、磁力狙撃砲だった部品を乱雑に押し込める。
 ここに自分がいた形跡を残すわけにはいかないからだ。
 その最中に、部品と混じって転がっている、ある物が目についた。


砂皿(これは……釘、か?)


 それは鉄製の釘だった。
 ここは建設途中のビル。すなわち工事現場だ。釘の一本や二本落ちていてもおかしくはない。普通ならそう判断するだろう。
 しかし、その釘は金槌で横から殴ったようにひん曲がっていた。そして、焼けたように真っ黒に焦げていた。
 それを見て、砂皿はあることを思い出す。

 学園都市にいる超能力者(レベル5)と呼ばれる能力者の第三位に当たる少女のことだ。
 少女が使う超電磁砲(レールガン)という技。それは金属で出来たコインを音速の三倍で射出することによって莫大な破壊力を生むというものだ。

 砂皿の覗くスコープがオレンジ色の光に包まれたのはなぜか。
 莫大な電力が彼女の周りに放たれたからではないか。

 鉄釘がなぜ黒焦げているのか。
 電気を纏って射出されたため熱で焼けたからではないか。

 超電磁砲は金属製のコインを飛ばす技だ。
 コインが飛ばせるのなら鉄釘を飛ばせてもおかしくはないのではないか。


砂皿(……もしや、ヤツが第三位の超能力者(レベル5)、『超電磁砲(レールガン)』というヤツか)


 片付け終わった砂皿は鞄を肩へ掛け、下の階へと降りるために階段のある方向へ目を向けた。
 すると、

 カン、カン、カン。

 下から金属製の階段を歩いて上ってくる音が聞こえてきた。
 誰かがこのビルへと上ってきている音だ。時間が時間だ。工事現場の人間ではないだろう。
 砂皿は身構える。その階段の音は次第に大きくなっていき、距離が近くなっていく。

 階段から人影が現れる。


????「――こんにちはー!! アナタだね? スクールに雇われてるスナイパーさんってヤツは」

砂皿「……貴様は超電磁砲か?」


 砂皿は冷静に問いかける。





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