結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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739: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:37:32.41 ID:Q+V+Oj11o


 海美は考える。
 おそらくこの相手と正面からぶつかって勝つ確率などゼロに等しいだろう。
 そもそもそういった戦いは海美が得意とする分野ではない。


海美(心理定規(メジャーハート)を使うしかない。もしかしたら逆上タイプかもしれない、とかそんなことを考えている暇はなさそうね)


 海美が能力を使用するために意識を集中させる。

 黒夜は『暗闇の五月計画』という実験の被験者だ。
 超能力者(レベル5)第一位の一方通行の思考パターンの一部を植え付けることで、能力を向上させている能力者。
 一方通行が逆上タイプかもしれないと思うように、黒夜に対しても似たようなものを海美は感じていた。
 しかし、今そんなことを気にして何もしなければ殺されるだけだ。


海美(まずは、あの子の中の心理的な距離を――なッ!?)


 海美の表情が歪む。彼女にとって信じられないことがわかったからだ。
 彼女は心理定規のチカラを使い、黒夜の中にある心理的な距離を測定しようとした。
 だが、それはできなかったのだ。

 まるで、機械相手に能力を使用しているような感覚を、海美は覚えていた。


海美「――貴女は一体なんなのよ!?」


 目の前に立つ人の形をした異形の化け物を見て、海美は叫ぶ。


黒夜「そォいえば私の方からきちンと名乗ってなかったか……」


 再び黒夜は嘲笑うように腕を広げた。
 それに連動して脇腹から生える腕たちも蠢くように広がる。



黒夜「――『グループ』所属。黒夜海鳥。いずれ暗部の頂点に立つ女だ。ヨロシク、お姉さン?」



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