結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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737: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:35:20.86 ID:Q+V+Oj11o


黒夜「…………は?」


 捻じり切れた腕の断面からボタボタと赤い液体が床に垂れ落ちていく。
 それを見た黒夜は怪訝な表情を浮かべる。
 誉望がかざした手を下ろして、


誉望「この強度、普通の腕じゃないな? 骨格を特殊な合金にした義手か何かってところか」


 まあどうでもいいか、と誉望は淡々と続ける。


誉望「俺の攻撃を感知することが出来ず、無様に腕を切断されているようじゃ、垣根さんには足元にも及んでいない。お前にはウチのリーダーを潰すことはできないね」


 誉望の念動能力は発火・透明化・無音化・電子操作などの多彩な力を包括的に扱うことができる汎用性の高いチカラだ。
 しかし、それはあくまで彼の能力に付属したオマケのようなもの。念動能力の本質は見えないチカラを操ることで、触れずに物体を動かしたり、干渉することが出来るというものだ。
 超能力(レベル5)級と自称するその念動力の出力が、黒夜の合金製の義手を捻じり切ったのだった。


黒夜「……はぁ」


 肘から先が無くなった左腕から目を離し、黒夜はつまらなそうにため息をついた。


黒夜「ほんと、残念だよなぁ……」

誉望「残念? お前の今の無様さのことか?」

黒夜「アンタらのことだよ」


 黒夜は憐れむように誉望を、そして海美を見る。


黒夜「私の左腕をスクラップにしてくれたチカラの強さはたしかにすごいよ。けど、何でアンタは私の首じゃなくて左腕をわざわざ狙って潰してくれたんだ? そしたら一瞬でケリが着いたっつーのに」

誉望「ッ……」


 誉望は睨みつけるように目を細めた。


黒夜「心理定規だっけ? 獄彩海美だっけ? まあ、どっちでもいいや。アンタここにいるってことは銃なり何なり持ってんだろ? いくらでもチャンスはあったはずなのに、何で私を撃ち殺さなかったんだ?」

海美「…………」


 海美は表情を変えることなく黒夜を見ていた。


黒夜「アンタらはどこかで思ってたんだ。ウチのリーダーの垣根帝督があっさりと打ち払った相手だから、自分たちでも余裕で処理できる相手なんだと」

黒夜「自分たちは会ったことはないけど、リーダーがクソザコだって言ったコイツは驚異になりえない相手なのだと、勝手に私のことを値踏みしてたんだ」

黒夜「だから、こうやって急所を狙わないなんていう舐めた戦いをしやがるし、後ろから呑気に観戦を決め込むことができるのさ」


 黒夜はベンチに置いてあったイルカのぬいぐるみを手に取り、抱きかかえるように持つ。
 パァン、とそのイルカのぬいぐるみは音を立てて破裂した。
 黒夜が引き裂くように笑う。彼女のまとう空気が変わる。





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