結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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733: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:30:34.78 ID:Q+V+Oj11o


 ガシャコン!! と一〇〇機のガトリングレールガンの安全装置が外れる音が鳴る。
 数多はため息をつき、隣に立つ円周を見て、


数多「円周。あの犬っころどもの相手はお前がやれ」


 命令された円周は露骨に嫌そうな表情を浮かべる。


円周「えぇー? なんで私がー? 一人でイキり発言してに勝手にピンチへ陥ったのは数多おじちゃんだよねー」

数多「俺はそこのジジイの相手をしてやらなきゃいけねえからな。つーか、ピンチじゃねえし。俺一人でも余裕だからな残念でしたー」


 それに、と数多は付け加える。


数多「今作ってる例の『装置』のテストにピッタリだとは思わねえか? この状況はよぉ」


 そう言われた円周はしばらくボーッと考えた。
 なるほど、と納得した様子を見せてから前線へスキップするように立つ。
 それを見た犬型のロボは、


イヌロボ『木原円周か。そういえば君にも苦汁を舐めさせられたな。だったら、先に君から消し炭にしてあげるとするかッ!!』


 円周から向かって正面の二階にいたガトリングレールガンを持つ獣が動く。
 照準を少女に合わせる。ドラム缶の中からウォーン、という駆動音が鳴る。
 数秒後、全てを貫き、全てを吹き飛ばし、全てを破壊する砲弾の嵐が木原円周へと発射されるだろう。

 しかし、円周は気にせず首にかけた携帯端末を見ながら、ブツブツとつぶやいていた。


円周「うん、うん、うん、うん」


博士「……あれは」


 博士はあることに気付いた。
 木原円周は、電子端末を利用して状況に応じた他人の思考データを自分自身へと落とし込み、その他人の発想を得て戦術へと変えるという技術を持つ。
 『木原』が足りていない彼女はそれを利用して『木原』を補うことで、あらゆる状況を対応する。それが彼女の戦い方。
 彼は木原円周を何回か見かけたことがある。だから彼は木原円周の戦い方を知っていた。

 だからこそ、博士は気付いた。その違和感に。

 円周に会った何回か、その中で変わった部分はいくつかあったが、それはあくまで髪型や服装などというどうでもいい部分だけだ。
 しかし、彼女は一貫して首から電子端末をぶら下げていた。上記の技術を使うために。

 そんな過去に出会った彼女たちと、今目の前に立つ彼女には決定的に異なる点があった。


 木原円周の首にはチョーカーのようなものが巻かれていた。
 それには向かって右側に黒い機械のような物が取り付けれていて、そこから伸びたコードが二手に分かれて彼女のこめかみへと貼り付いていた。
 博士はあるものが頭の中をよぎった。彼女と同じような装置を付けた人物を。


 特殊な電極を取り付けたチョーカーを首に巻いた、学園都市の最強の超能力者を。


円周「うん、うん、そうだねアクセラお兄ちゃん」


 円周は首元に付いた機械に手を伸ばし、それのスイッチを入れた。
 ピーガガガガガガ、というノイズ音が走る。彼女の瞳に反射して映る、心電図のような線が上下に激しく動く。
 携帯端末から手を離す。重力に従い落下し、ストラップに引っ張られるように首にぶら下がる。



円周「――『一方通行(アクセラレータ)』ならこォするンだよね」



 彼女の瞳の色が変わる。全てを飲み込みそうな黒色から。
 ドロドロに薄汚れた血のような赤色へと。





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