結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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730: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:27:50.71 ID:Q+V+Oj11o


博士「楽しいかね? 生温い表の世界で幼稚な会社を作り、お山の大将を気取れるその生活が」

博士「従犬部隊(オビディエンスドッグ)と言ったかね? 従業員は当時の猟犬部隊(ハウンドドッグ)の部下だったか。そんな使い捨てのクズどもを起用するとは情でも移ったのかね?」

博士「仕事で最終信号を預かっているそうだな。隣で無邪気に笑うこの少女を見て庇護欲でも湧いたのかね?」


 語りかけるように質問を投げ続ける。
 ただただ一方的に。


数多「…………」


 木原数多は答えない。
 博士を見たままその場を動かなかった。


博士「……なるほど」


 博士が何かに気が付いた。
 まるで長年持ち続けた疑問の答えを見つけたかのような表情を見せる。


博士「去年の九月三〇日。君が最終信号を捕獲しウイルスを打ち込むという任務を放棄し、アレイスターを裏切った理由がわかった」

数多「何が言いてぇんだテメェ」

博士「君はあの幼い外見に惑わされてウイルスを打ち込むことができなかった。ただの実験動物とは思うことができなくなっていた。違うかね?」


 博士の問いを聞き、数多が目を逸らし、顔を伏せた。
 その様子を見た博士が白い歯を不気味に見せる。


博士「くだらない、実にくだらない。君はそういうものとは対局の位置にいるような人間だと思っていたがね」

博士「君たち木原一族はそこにいる木原円周のことを『木原』のなり損ないと称しているそうだな」


 突然名前を呼ばれた円周が首をかしげる。


円周「?」


 だが、それだけで円周は特に何も喋らない。


博士「私からしたら君のほうがよっぽど『木原』のなり損ないだよ。科学に巣食う木原一族が憐れみなどという、最も不必要な感情に流されてどうする?」


 博士の言葉を聞いた数多の体は、震えていた。
 彼の抱いている感情は、動揺か、怒りか、悔しさか。


数多「…………はは」


 どれも違う。彼の抱いていた感情は、



数多「――ギャッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」



 愉悦。
 全てを卑しめるような笑い声が倉庫内に響く。
 博士が眉をひそませる。


博士「何がおかしいのかね?」

数多「全部だよ」


 一言で全てを突っぱねた。





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