結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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727: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:25:42.69 ID:Q+V+Oj11o


番外個体「えつぁり……?」


 空気を読まずに番外個体はとぼけたような感じで首をかしげる。
 嫌がらせのためにわざとやっているのか、それとも彼女の素なのか、もしくは両方なのか。


海原「エツァリとは自分の本名です。海原光貴はこの顔の持ち主の名。つまり偽名なんですよ」

番外個体「はえー、そうなんだ。じゃあこれからはエっちゃんって呼んであげるよ」

海原「ッ……いえ、結構です」

番外個体「遠慮しなくてもいいのにー、照れちゃってー。エっちゃん♪」


 そんな二人の様子を見てショチトルが肩を震わせながら、


ショチトル「エツァリ貴様ッ!! 学園都市に寝返った裏切り者がッ!! まさか『組織』を裏切った理由はそのアホみたいで下品な女のためとか言わないだろうなッ!!」


 褐色の少女の咆哮に番外個体はピクリと反応する。


番外個体「あん? 誰がアホで下品だってー? あんま調子乗っちゃってると×××に電極ぶっ刺して、体内に直接二億ボルトの電流ぶっ放しちゃうよん? これぞまさしく電気マッサージだね、略して電マ!」


 お上品とは対局な発言を息を吐くように述べる少女。
 いつもの海原なら『下品じゃないですか』と一言ツッコミを入れるだろうが、今の彼にそんな余裕はなかった。


海原「ショチトル。まさか貴女は裏切り者の自分を追ってこんなところに……?」

ショチトル「ああそうだ。長かったよ。こんな気持ちの悪い街に半年以上も閉じ込められるとは思いもしなかった」


 ショチトルが片手を振るう。すると突然、手の中に白い大剣が現れた。
 サバイバルナイフのような鋭い凸凹が両刃に付いた白い玉髄で作られた刀剣が。


ショチトル「それも今日で終わりだ。エツァリ、貴様を処分することによってな」

海原「『マクアフティル』……! 貴女がそんなものを持ち出してくるなどとは、一体何があったのですか!?」


 海原の問いかけに答えない。白い大剣を携えたまま、少女はゆっくりと距離を詰めてくる。
 その姿を見た海原はごくりと唾を飲んで、


海原「番外個体さん」

番外個体「なに?」

海原「ここは自分に任せてもらえないでしょうか?」

番外個体「いーよ」


 番外個体は軽く返事をした。何の迷いもない。
 海原のことを信じているのか、はたまた面倒事に巻き込まれたくなかったからなのか。
 獲物を持って近付いてくる少女に背を向け、番外個体は離れるように歩いていく。


番外個体「じゃ、あとは若いお二人さんでごゆっくりー。ミサカは適当に外で散歩でもしてくるかにゃーん」


 手をひらひらさせながら番外個体は少年院の表門へと向かっていった。


海原「……ありがとうございます。番外個体さん」


 海原は構える。目の前に立ち塞がるショチトルと対峙するために。


 かつて師弟関係にあった少女と戦うために。


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