724: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/08(土) 11:22:44.93 ID:Q+V+Oj11o
「余計なことぺちゃくちゃ喋ってンじゃねェよ」と一方通行は睨みつけた。
彼の言う通り、一方通行の首には電極付きのチョーカーが巻かれている。
それは一方通行から見て左側の位置にスイッチ兼バッテリーの装置が取り付けられており、そこからこめかみへと伸びた線を介してミサカネットワークからの電波情報を脳内に伝達する。
しかし、今はチョーカーの右側部分にも装置が増設されていた。元の電極と似たようなデザインだったが一回り大きく、少し首を右に傾けるだけで肩に当たりそうになる。
装置から伸びた線は一本だけで、それは元の左側に付いている電極に繋げられ、連結しているようだった。
一方通行「…………」
一方通行は首の右側についている装置を手で撫でながら考える。
普通なら口に出すだけで机上の空論だと切り捨てられそうな装置、『AIMジャマーキャンセラー』についてだ。
この装置は作戦時間三〇分前に叩き起こされたときには、既に首へ取り付けられていた。
最初は『ナニ勝手なことしてンだ』と激昂した。だが、土御門のどうしても必要なモノだという説得と、電極本来の機能自体は問題なく使用できたという事実で、嫌々ながら無理やり納得した。
そのときに先ほど土御門が言っていたような雑な説明を聞いていたが、それに関してはどうしても信じることはできなかった。
土御門は簡単に言ったが、狂ったAIM拡散力場を正常値に戻すのはそう簡単なことではない。
五〇や一〇〇といった大雑把な数字を上げていたが、実際は小数点以下どころかマイクロレベルの極小の誤差も許されない精密な分析が必要となるだろう。
歪んだ数字を元に戻すとするならその元の数値も正確に把握できていないといけない。
AIM拡散力場は常に一定の数値を保っているわけではない。能力者のそのときそのときに適した形に変化して、それを正常値としている。
そういった要因を含めた上で、AIMジャマーキャンセラーという装置を作ろうとした場合、その使用する能力者の『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を完全に把握していなければいけない。
そんなことは不可能だ、と一方通行は思っていた。
だが、現実一方通行はこのAIMジャマーで能力が阻害されている状況で、正確に『ベクトル操作』というチカラを使用することができた。
先ほどの無理難題をクリアーしたということになる。土御門が言った『とある学園都市のなんでも屋さん』という言葉を思い出す。
一方通行(……ああ、そォいや居たなァ。そンなことを鼻の穴をほじりながらこなすことができるクソ野郎が一人な)
また変なところで借りを作ってしまったということか、と一方通行は舌打ちする。
次会ったときに、ムカつくような面して煽りに煽りまくってくるオッサンが絵に浮かぶ。
佐久「くそったれがッ……!」
手塩「…………」
一通りの説明などを聞いて圧倒的不利な状況に自分たちが立っていることに気付いたのか、ブロックの二人組は顔をひきつらせていた。
そんな二人を見た一方通行は適当に首を鳴らしながら一歩踏み出す。
一方通行(AIMジャマーキャンセラーっつってもやってることはAIMジャマーと同じだ。歪ンだAIM拡散力場をさらに歪ませて元に戻しているに過ぎねェンだからな)
一方通行(AIMジャマーは莫大な電力を食う。ソレはコイツも同じ。装置本体には俺の持っていた電極の予備バッテリーが搭載されていて、さらに電極に付いたメインバッテリーも併用させることで、やっと五分間起動させることができるっつゥ話だ)
ここにたどり着いてからどれくらいの時間が経ったか。一分か? 二分か?
関係ない。こんなヤツらを制圧するのに十秒だっていらない。
カシャン、と一方通行の機械的な杖の棒部分が収納された。
一方通行の両手が空く。苦手と悪手を広げながら悪魔のような笑顔で、ゆったりと佐久たちとの距離を縮める。
一方通行「――コイツは戦いなンて高尚なモンじゃねェぞ。ただのくだらねェ害虫駆除だよ、ゴミムシどもが」
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