結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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711: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/01(土) 11:56:32.08 ID:31eSI50lo


A子「えっと、ホント何言ってんだろって感じなんだケド。最初に会ったときから私がずっと言ってるわよねぇ? 『結標さんを助けに行く』って」

上条「いや、それはわかってんだ。なんつーか、えー、俺はこれから結標に会って何をすればいいんだ? とか、俺には一体何が出来るんだ? みたいなこと考えてて」

A子「…………」

上条「俺さ、結標と一回会って、話して、説得しようとしたんだ。俺の伝えたいこと全部伝えたつもりだった。でも駄目だったんだよ」


 第一〇学区の公園での出来事を思い出す。
 上条は自分の思っていることを全部伝えたつもりだった。一人の『友達』として。
 結果彼の言葉は結標淡希には届かなかった。それどころか彼女を怒らせてしまい、手痛い反撃を受けることとなってしまった。


上条「そんな俺が今からアイツに会ってどうすりゃいいんだ。俺の『役割』ってなんなんだよ、って思っちまってよ」

上条「ずっとそんなことを考えてたら、全然結論が出てこなくて、お前に変な気を使わせちまったってことだ」


 変なこと聞かせて悪かったな、と上条は謝罪した。
 今更だが女の子に何話してんだ。少年は自己嫌悪のような感情が浮かばせ顔を曇らせた。


A子「…………ぷぷっ」

上条「へっ?」


 A子と名乗る少女は口元を隠すように手を当てる。
 彼女から吹き出すような声が聞こえた上に、目元だけ見てもわかるくらいニヤニヤしていた。
 上条は何かあざとさのようなものを感じて目を細める。


上条「お前、今笑ったろ?」

A子「……ううん、別にそんなこと……ぷっ」

上条「現在進行系で吹き出してんじゃねえか! つかわざとやってんだろテメェ!」

A子「アハハハハハっ、ごめんなさいねぇ。あまりにもアナタには似合わない悩みを打ち明けられちゃったから、ちょっと面白くて」

上条「ぐっ、たしかにそうかもしれねえよ。けど、さっきも言ったが似合わないとか言われるほど接点はな――」


 上条の言葉を遮るように、


A子「ま、私じゃ解決力のあるような一言はあげられないケド、一つだけ言えることがあるわぁ」


 少女はステップを踏むように上条の前に立ち、後ろで手を組み、前かがみ気味になりながらじっと見つめて、


A子「そんなこと理屈で考えたっていつまでも決着は付かないわぁ。だから、アナタが本当にやりたいと思えたこと、それがアナタの『役割』ってことでいいんじゃないかしらぁ♪」


 ニッコリと笑って、少女はそう答えた。


上条「本当にやりたいと思えたこと、か……」


 上条は言葉を噛みしめるように反復する。
 たしかに結標淡希を助けたいのは自分の本意だ。それは間違いない。


A子「少しは吹っ切れたかしらぁ?」





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