結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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708: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/01(土) 11:52:21.42 ID:31eSI50lo


 美琴が行っているのは磁力操作。磁力を操って貯水タンクという巨大な金属の塊を意のままに動かしているのだ。
 犬型のロボット達が美琴がやろうとしていることを察したのか、散り散りになって逃げていく。
 それを追うように美琴は貯水タンクを操作し、


美琴「――遅いっての!」


 ハンマーを振るような軌道で手を振る。同じような動きで貯水タンクがアスファルトの上をものすごい速度で走った。
 軌道上にいた三機の犬型のロボットが車に撥ねられたように薙ぎ払われる。
 バチッ、と内部がショートし、機能停止したロボットたちが地面に叩きつけられた。


美琴「時速六〇キロの自動車が衝突する衝撃って、五階建てのビルから落下した速度と同じくらいなんですってね。ってことは、こんな大きくて重い物体がそれより速い速度でぶつかってきたら、ちょっと痛そうよねー」


 ガンッ!! ガガンッ!! ガシャーンッ!!

 機械の砕ける音がビルの屋上で次々と鳴り響く。
 美琴が貯水タンクを巧みに操作して、犬型のロボットの数を徐々に減らしていく。
 ふと、八機目の犬型のロボットを粉砕した辺りで、後ろにいる打ち止めが気になり、視線を移した。


美琴「…………え」


 美琴は目を丸くする。自分の背後に信じられない光景があったからだ。
 守るべき存在である少女が。大切な妹の一人である少女が。今そこにいるはずの少女が。

 いなくなっていた。


美琴「――――ッ!!」


 バチンッ!! と美琴の周囲に電撃が走り、彼女の体が宙に浮いた。
 高圧電流で空気を爆発させることによる飛翔。
 空中から辺りを見回す。視線を高速で動かす。
 そして、彼女はそれを捉えた。

 象の鼻のような機械製のロッドを打ち止めの体に巻き付けて、ここから離れようと下の道路を走る犬型のロボットを。


美琴「――逃がすかッ!!」


 美琴はその後を追うために磁力を制御して高速移動しようとする。
 
 
 瞬間、美琴の周囲に爆発が起こった。
 ビル街の空に黒煙が巻き上がる。

 それは屋上で立っている一機の犬型ロボットが起こした現象だった。
 ロボットは象の鼻のようなロッドをさらけ出していた。その先端には黒い筒状のものが付いている。
 グレネードランチャー。犬型ロボットに搭載されている兵器の一つだった。





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