結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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699: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/01(土) 11:36:49.68 ID:31eSI50lo


 少女が銃口を向けられていても取り乱すことのなかった理由が分かった気がした。
 要するに彼女は初めからこの展開になることがわかっていたのだ。というかそういうことなら教えろよ、と上条は横目で少女を睨んだ。
 A子と名乗る少女はそれを気にも止めず、


A子「まあでも、ちょっと厄介なことになってきてるわねぇ」

上条「厄介なこと?」

A子「ええ。私のチカラの制御下にいない人がいた。つまり、外部から別の組織が介入しているってコト」

上条「外部? 暗部組織とかいうヤツらのことか?」

A子「そうだとは言い切れないケド。まあ、こんな場所に忍び込める潜入力がある時点でほぼ確定よねぇ」


 上条は昨晩のことを思い出していた。
 銃火器を持っていた男たちを。超能力(レベル5)というチカラで前に立ちふさがった女のことを。


上条(あんなヤツらがここにいるかもしれねえって、厄介ってレベルじゃねえぞ)


 やっぱり一筋縄じゃいかなそうだな、と上条は思った。
 しかもその驚異は上条たちだけではなく、彼が追っている結標淡希の身にも降り掛かってくることだろう。
 急がなければいけない、そう考えていると、


 ビィィィ!! ビィィィ!! ビィィィ!!


 建物内に警戒音のようなものが鳴り響いた。
 まるで非常事態が起こったかのような。
 つまり、


上条「――おっ、おい! これもしかして俺らのことが見つかったってことじゃねえか!?」

A子「かもしれないわねぇ。私の制御下にない人が監視カメラに映ってる私たちを見て警報を鳴らした、ってところかしらぁ?」

上条「かしらぁ、じゃねえよ! つーか、何でテメェはいっつもそんなに余裕綽々なんだよ? もしかしてまだ何か策とかでもあんのか?」

A子「残念ながらそーゆうのはないわねぇ。でも一つだけ言えることがあるわぁ」


 そう言って少女は人差し指を立てて、


A子「ここにいる警備の人たちのほとんどは私の制御下にある。その人たちには私たちへ危害を加えないよう細工がしてあるわぁ。だから、自分たちからこちらへ向けて大群引き連れて来るなんてことはないはずよぉ」

上条「けど、そうじゃねえヤツらには狙われるってことだろ? それはそれで危ないんじゃねえか?」

A子「そうね。でもこれはある意味チャンスだとも言えるのよねぇ」

上条「チャンス?」

A子「ええ。だって警報が鳴っている中で一生懸命捕まえようとしている人もいれば、無視して別業務に励んでいる人もいるのよぉ? きっと向こうは大混乱じゃないかしらぁ?」

上条「……あー、たしかに」


 軽い内乱みたいことが起こってそうだな、と上条は力なく笑った。


A子「というわけで進むなら今のうちよぉ。行くわよアナタたち」

警備兵達「「「「「了解シマシタ」」」」」


 武装した屈強な男たち五人組を従えながら少女は先先へと足を進めていく。
 上条はその後ろをそそくさと付いて行った。


―――
――






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