697: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/01(土) 11:31:20.70 ID:31eSI50lo
上条「……は?」
予想外の光景に上条は戸惑いの声が出た。
てっきり、捕縛術みたいなのを使って少女を拘束するのだと思っていたのだからしょうがない。
ひざまずいた男は見上げるように少女を見て、
警備兵B「オ待チシテオリマシタ。『食蜂』サマ」
A子と名乗る少女を『食蜂』と呼称し、忠誠を誓った。
まるで館の主人と召使いの関係のように。
それを上条は唖然とした様子で見ていた。
くるりと少女は回転して上条の方へと向く。
A子「これが超能力者(レベル5)第五位『心理掌握(メンタルアウト)』のチカラよぉ。ここに勤めている職員・警備の人は全て私の制御下ってコト☆」
上条「第五位……、めんたる、あうと……?」
メンタルアウトという単語は聞いたことあるようなないような変な感じだったが、第五位については何となく知っていた。
記憶操作・読心・人格の洗脳・念話・想いの消去・意志の増幅・思考の再現・感情の移植・人物の誤認等。
精神に関する事ならなんでもできる十徳ナイフのようなチカラだと、たまに小萌先生が授業で言っていたのを上条は聞いたことがあった。
上条「お前が、その第五位だったのか……?」
A子「一応、昨日も同じようなことを言ったと思うんだケドぉ、やっぱり忘れちゃってるわよねぇ。ま、一応言ってはおくけど、このカラダは私の能力で操ってる借り物のカラダだから、この私は私じゃないわよぉ?」
上条「なるほど。わからん」
そう言って上条は思考することをやめた。
とりあえず安全だとわかったので足を進めて彼女の元へ。そして少年院の建物の中へと入っていった。
上条・A子・警備兵という謎パーティーで中を進んでいく。
後ろから黙々と付いてくる警備の男を横目に上条は少女へたずねる。
上条「ところで警備の人全員制御下って言ってたけど、具体的に何が出来るんだ? 例えば職員全員グラウンドに集合! って指示とか出せるわけ?」
A子「さすがにそれは私のチカラでも及ばないわねぇ、ここには職員が一〇〇人以上いるしぃ。あくまで私がやっているのはある『命令』だけを植え付けて、あとは普段通り行動しろって感じのヤツよぉ」
黒髪の少女いわく、その命令というのは『食蜂操祈及び食蜂操祈が操る人間、そして上条当麻を排除対象から外す。オプションで食蜂操祈の命令は絶対☆』らしい。
排除対象から外すというものは、警備する人間が彼女たちを遠目で発見しても無視するし、監視カメラやセンサーで彼女たちを捉えてもそれを管理する職員は無視するということ。
つまり、彼女たちはこの少年院の中を自由気ままに散策することが出来るということだ。
その説明を聞いた上条は、
上条「よくわかんないけどすごい能力ってことだな? この中を安全に動けるってことだな?」
A子「……まあ、そういうことでいいわよぉ。アナタの理解力ならそれが限界ってコトかしらねぇ」
上条の小学生並みの理解に少女は呆れた様子だった。
そんなやり取りをしながら通路を歩いていると、前から五人組の警備兵が歩いてくる。
それを見て上条はビクッと体を震わせたが、少女が言っていた職員はみんな奴隷みたいな言葉を思い出し、
上条「な、なあ? アイツらも大丈夫なんだよな?」
A子「大丈夫よぉ。言ったでしょ? ここの職員はみんな――」
彼女が言い切る前に、
警備兵C「――貴様ら何者だ!?」
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