結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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674: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/26(日) 00:16:02.84 ID:Ud1c3PHRo


黒子「――ただいま戻りましたの」


 ジャッジメント白井黒子は櫻井通信機器開発所の火災現場の救助活動を終え、無事第一七七支部へと帰還した。
 少し肩を落としながら入室したところを見るに、相当疲労が溜まっているのだろう。
 体中に見える灰が擦れたような汚れや、にわか雨を受けて湿った衣服がそれを助長させているように見える。

 そんな彼女へ一番に声をかけたのは、入り口から一番近い席に座っている先輩固法美偉だった。


固法「お疲れー。例の迷子の子は見つかったのかしら?」

黒子「……いえ、残念ながら」


 黒子と初春は迷子の捜索という建前で結標を追っている。
 これは逃走犯としての結標の捜索が打ち切られたから、上条当麻に迷子の捜索と言う形で依頼してもらうことによって行っている風紀活動だ。
 結標淡希が迷子として扱えるかどうかは怪しいが、初春の起点と詭弁でとりあえず許されている状況だった。
 しかし、


固法「うーん、ここまで捜しても見つからないってことは、こちらの手に負えない状況かもしれないわね」

黒子「えっ」

固法「アンチスキルへ引き継いだほういいかもしれないわ」


 迷子。そう言うと童謡にも使われている平和そうな単語に聞こえる。
 だが、言い方を変えれば行方不明者。捜索の時間が長引けば長引くほど深刻な事態へとつながっていく。


黒子「た、たしかにそうかもしれませんわね。あはは」


 引きつった笑顔で愛想笑いをしながら初春のいる席へと向かう。
 このあまりよろしくない状況を伝えるためだ。


黒子「初春!」

初春「ほえ?」


 一個三〇〇円弱しそうなプリンの容器を片手に、プラスチックの使い捨てスプーンを咥えている初春がのんきそうに返事をした。
 机の隅にコンビニ弁当の空殻が置いてあるところを見るに、食後のデザートなのだろう。
 いろいろ言いたいことはあったが黒子はぐっと飲み込んで、


黒子「固法先輩がこの件をアンチスキルへ引き継ぐと言っていますわ。そろそろ限界かもしれませんわね」

初春「あー、たしかに時間が時間ですからねー。うーん、困ったなー」

黒子「そんなセリフはその手に持ったデザートを机に置いてから言いなさいな」

初春「ちぇー、別にプリンを持っていようがいまいが作業スピードは変わらないのにー」


 初春は唇を尖らせながらしぶしぶ手に持った容器とスプーンを置いた。





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