結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
1- 20
670: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/26(日) 00:08:51.48 ID:Ud1c3PHRo


 というわけで一旦解散! という麦野の一声でアイテムはそれぞれ別行動を始めた。
 絹旗はお腹が空いたということでルームサービスで適当な料理を頼む。
 浜面は滝壺をゆっくり寝かせるために部屋へ連れて行く。
 麦野は暇潰しにテレビを付けてチャンネルを回して番組を吟味していた。
 そしてフレンダは、


フレンダ「――私、ちょっと疲れたから少し仮眠を取るって訳よ」

麦野「ほーい、おやすみー」


 麦野がテレビから特に視線を移すことなく手をひらひらさせたのを見てから、フレンダは空いている部屋へと移動した。
 部屋に備え付けてある高級個室サロンの名に恥じぬふかふかベッドに、倒れ込むように顔からダイブする。
 低反発枕に顔を埋めながら、


フレンダ(……ホントなにやってんだろ、私)


 頭の中を巡るのはやはり二時間前くらいの光景。僅かなタイミングのズレによって起こった任務の失敗。
 フレンダは別に今までヘマをしていなかったわけではない。
 そのたびに怒られたり呆れられたりして、それはそれでショックを受けたりはした。
 だからこそ、憐れんだのか気まぐれだったのかはわからないが、麦野が珍しく見せた優しさが逆に彼女の胸を強烈に締め付けたのだろう。
 こんなことならいつも通り言い上げられた方がマシだったかもしれない、とフレンダは思う。
 仕事を降りるか降りないか、そんな選択肢が生まれた原因が結果的に見れば彼女のミスなのだからなおさらだ。


フレンダ(絹旗のヤツ、すごいな……)


 今回の件では同じような境遇の絹旗という少女のことを思う。
 実際彼女が、今回の件のことをについてどう思っているのかなんて、フレンダにはわからない。
 だが、絹旗は責任感の強い少女だ。何も考えてはいないということは無いだろう。
 そんな絹旗がいつも通りの振る舞いを見せているのは、素直に彼女自身の強さの表れだろうとフレンダは推測する。
 自分より年下で小さい女の子と比べて自分は一体何なんだ。自己嫌悪の激流がフレンダの中を渦巻いた。


フレンダ(……やっぱ……わた……あん……て……かな……)


 いくら負の思考が頭を巡っていても今の彼女は疲労した状態でふかふかベッドの上。
 次第に自分が何を考えているのかわからなくなり、夢の世界へと誘われていく。
 ただ、眠りに付く前にフレンダは明確一つだけ思った。

 『目が覚めたら今日のことが夢だったらよかったのに』。
 
 砂糖菓子より甘くて儚い願いを抱え、フレンダの意識は消えていった。


―――
――






<<前のレス[*]次のレス[#]>>
841Res/1732.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice