結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
1- 20
668: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/26(日) 00:03:20.75 ID:Ud1c3PHRo


 第三学区にある暗部組織『アイテム』の隠れ家。
 屋内レジャーだけ集めたいわゆる上層階級と呼ばれる人だけが利用できる、高層ビルの一角にある施設。
 その中にあるVIP用の個室サロン。個室といいながら3LDKを超える広さを持つ空間。

 リビング部分にアイテムの少女四人と下っ端浜面仕上がソファや椅子に座って会話していた。
 いや、一人だけ座っていない少女がいる。滝壺理后。
 ピンク色のジャージを着た少女がソファの一角に、毛布を被って横たわっていた。
 風邪を引いているみたいに息を荒げながら顔を赤らめている。
 そんな少女を横目にリーダー麦野が一言。


麦野「――私たちアイテムは今回の仕事降りまーす」


 麦野の発言に他のメンバーが「えっ?」と声を揃える。
 その中の一人絹旗最愛が立ち上がって中央のテーブルを叩き、前かがみになりながら、


絹旗「な、なんでですか!?  そんな急にっ!?」


 それに続いてフレンダも不安げな声のトーンで、


フレンダ「も、もしかして私たちじゃ手に余る案件ってこと?」


 困惑してる二人を見ながら麦野は冷静な口調で説明する。


麦野「別にそういうわけじゃないわ。次、本格的に攻め込めばたぶん捕れる。けどそのためには滝壺のチカラが必須なわけ」

麦野「こんな状態の滝壺を、これ以上消耗させてまで座標移動を捕まえたところで割りに合わない。だから降りるの、わかる?」


 説明を終えるとしばらく無言の時間が続いた。
 サロンに流れている癒やし系のBGMだけが部屋中に流れる。
 そこで真っ先に麦野に反論したのはソファに寝込んでいる滝壺理后だった。


滝壺「……む、ぎの。私なら、大丈夫、だから……、追おう、座標移動を」

浜面「お、おい! 無理すんなよ滝壺!」


 滝壺は体をふらつかせながらゆっくりと上体を起こしていく。
 一瞬、体がぐらついたのを見て浜面が彼女の体を支えた。
 その様子を見て麦野は舌打ちをして、


麦野「うっせーな、降りるっつったら降りるのよ。病人は引っ込んでな」

絹旗「で、でも麦野。いちおうあの電話の女からの指令だから、勝手に降りたりしたら超不味いのではないでしょうか?」


 絹旗の言う通り暗部の仕事というのはシビアだ。たった一回の失敗で多大なリスクを負う可能性だってある。
 失敗したから消す。そんなことが日常茶飯事行われているのが学園都市の暗部だ。


麦野「うーん、まあたしかに多少のペナルティーはあるだろうけど、たぶん大丈夫だと思うわ」


 麦野は軽い感じに答えた。その軽さに戸惑いながらフレンダは問う。


フレンダ「な、何でそんなことがわかるのさ?」

麦野「今回の仕事はアイテム以外の組織にも通達されているからよ」

フレンダ「他の組織って……『スクール』とか『グループ』とか?」

麦野「そうよ」


 何か確信を得いているような口ぶりで麦野は続ける。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
841Res/1732.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice