結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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666: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/25(土) 23:57:59.11 ID:jaU2C2/Fo


 侮蔑が混じった言葉を聞いた一二歳くらいの少女黒夜は声を低くさせた。
 そんな彼女を気に留めることなく海原が答える。


海原「そうですね。彼女は貴方がよく知る『暗闇の五月計画』の生き残りで、暗部の中の組織を転々として最終的にグループへ行き着いた、って感じですかね?」

黒夜「チッ、言い方は気に入らないが間違ってはいないね」

一方通行「なるほど。やっぱりそォだったか」


『暗闇の五月計画』。最強の演算能力を持つ一方通行の演算パターンを参考に、彼の精神性・演算方法の一部を他の能力者へ植え付け、その能力者のチカラを向上させようする計画。
置き去り(チャイルドエラー)がその被検体として使われているという、暗部では有名な実験の一つだ。
被検体の一人が暴れて、研究者を皆殺しにした為、計画は凍結された。一方通行が知っているのはこの程度の知識だった。


黒夜「ふん、私をただの流れ者だと思うなよ? 私には現在の暗部組織が何らかの要因で一つ残さず解体されたときに、暗部組織を復興し、それの指導者として悪の頂点に立つ役割を与えられた――」


 黒夜が意気揚々と喋っているのを見て一方通行は、


一方通行「よォするに補欠ってことか」


 馬鹿にしたように一言で片付けた。
 それを聞いて黒夜が額に青筋を立てる。


黒夜「あァ!? 私が補欠だとォ!? ふざけンなッ!! この私の役割が補欠なンてそンなクソみてェな――」


 口調を荒げながら食ってかかる黒夜。
 しかし彼女の後ろから「補欠だよにゃー」「補欠ですね」「補欠だねー」というヒソヒソ話が聞こえてきて動きが止まった。


黒夜「……オマエら、いつか絶対ェ皆殺しにしてやる……!」


 プルプルと体を震わせながら黒夜は忌々しげにつぶやいた。
 黒夜がおとなしくなったことを確認した土御門は話を戻す。


土御門「次に二つ目の条件だ。とその前にお前に一つ聞きたいことがある」


 一方通行の方を見て続ける。


土御門「お前には結標を追い始めてから様々な障害が立ちふさがったと思う。その中でお前は人を殺したか?」

一方通行「……さァな」


 一方通行は適当に返した。誤魔化すように。
 たしかに一方通行はこの一日だけでも多くの敵にチカラを振りかざした。
 結標を捜していたスキルアウトたち、それをけしかけた研究員、地下研究施設を防衛していた駆動鎧。
 一方通行がその者たちへ直接手を下したときは、殺さない程度に痛みつけるだけで終わっていた。
 口ではいろいろ言ってはいたが、無意識のうちに人を殺すということに対し、理性がセーブをかけていたのだろう。
 しかし、彼は地下研究施設での出来事で我を忘れて、施設まるごと崩壊させるほどのチカラを振りかざすということがあった。
 施設には機能停止した人入りの駆動鎧が放置されていたし、逃げ遅れた人だっていたかもしれない。
 そんな場所を崩壊させてしまったのだから、一方通行は人を殺していないなどとは口が裂けても言えなかった。

 一方通行の曇らせた表情を見て土御門はサングラスを軽く上げて、


土御門「まあいい。それで二つ目の条件だが、これから結標を助ける道中に現れる敵、ソイツらを一人たりとも殺すな」

一方通行「ハァ? 相手は暗部のクソッタレどもだろォが。別にぶっ殺したって問題ねェクズどもじゃねェのかよ?」

土御門「ソイツらを殺すのは同じクソッタレであるオレたちの役目だ。お前の出る幕はない」

一方通行「オマエらごときで他の暗部にいる超能力者(レベル5)を殺れンのかよ?」

土御門「…………」





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