665: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/25(土) 23:54:36.63 ID:jaU2C2/Fo
番外個体「はーい、わかってまーす」
番外個体は憎たらしい笑顔で軽く返事をし、
黒夜「チッ、ヘイヘイ。わかってるっつーの」
黒夜は手を広げ、投げやり気味に返事をした。
その様子を頬杖をつきながら眺めている一方通行を見て、海原が微笑みながら、
海原「実は、貴方が我々を見つけ出すというゲームをしている間に、並行して彼女たちもちょっとしたゲームをしていたんですよ」
一方通行「ゲームだァ?」
海原「はい。もし一方通行が自分たちグループの目の前に現れたとき、一度だけ一方通行を本気で殺しに行ってもよい。ただし、それを失敗した場合はその後一切一方通行へは手を出さない。そういうゲームです」
それを聞いて一方通行は納得した。
あのカラオケボックスにたどり着いたとき、なぜ黒夜海鳥と番外個体は自分へ攻撃を仕掛けてきて、土御門元春と海原光貴が攻撃を仕掛けてこなかったのかという疑問に対して。
だが、それと同時に新しい疑問が生まれる。
一方通行「番外個体(ミサカワースト)っつったか。アイツは俺を殺すために作られたと言っていた。そンなヤツにたった一回のチャンスだけ与えてあとは飼い殺しだなンて、一体ナニがしたいンだオマエら?」
敵意を剥き出しの眼光を放つ一方通行。
海原は何かに気付いた。
海原「おや、もしかして彼女の出生に我々グループが関わっていると勘違いしていませんか?」
一方通行「違うのか?」
一方通行が怪訝な表情を浮かべる。
海原「彼女はまったく別の機関で生まれた方です。おそらく生み出された目的は『一方通行が学園都市上層部に対して反旗を翻した時のカウンター』と言ったところでしょうか」
一方通行「そォいうことか。俺がいつまで経っても反逆しねェから出番が一向に来ない。このままじゃせっかく作ったのに腐らせちまう、つゥことで席の空いているグループへ派遣した、って感じかァ?」
海原「理解が早くて助かります」
海原が爽やかに微笑む。称賛された一方通行の方は鬱陶しげに目を逸らさせた。
一方通行からしたら、製造ロットや生まれた意味が他とは違う番外個体だって守るべき妹達の一人であることは変わりない。
そんな彼女が一方通行を殺しに来ようが、グループという掃き溜めのような組織に送り込まれようが、どちらにしろ不本意な結果な為、彼がこうなるのも仕方がないことだ。
笑顔だった海原が真剣な表情に戻り、話を続ける。
海原「しかし、それはあくまで過去の話です。現在貴方は結標淡希を追っている。上層部がこの行動を反逆の意思だと受け取れば、必然的に彼女へ殺害命令が下ることでしょう」
海原「彼女は今グループの指揮下に入ってはいますが、もちろん優先度はそちらのほうが上です。だから、そういったことになる覚悟はしておいたほうがいいですよ?」
「自分としてはその展開は勘弁願いたいものですがね」と海原は呟くように言った。
二人の話が終わったことに気付いた番外個体が一方通行へ向かって、
番外個体「そーいうわけだから、今だけは見逃してあげるよ第一位。上から殺害命令が下りるのをせいぜい楽しみに待っててね☆」
あざ笑うかのように言った。
死刑執行日が決まるのを待つ死刑囚のようなこの状況。しかし、一方通行はこの状況に安堵を覚えていた。
今の一方通行は結標淡希の問題で手一杯な為、ここでさらに番外個体の問題を上乗せされた場合、全てを処理しきれる能力を彼は持ち合わせていない。
束の間の猶予だろうが彼にとってそれは大きなものだった。
一方通行「……それで」
一方通行はカラオケボックスで襲いかかってきたもう一人の少女に目を向ける。
一方通行「こっちのチビも似たよォな感じか?」
黒夜「あ?」
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