結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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661: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/25(土) 23:42:49.52 ID:jaU2C2/Fo


数多「お前はこのオフィスに勝手に居候してるガキだろうが。社員名簿にお前の名前はねーよ」

円周「スターランドパークのお化け屋敷とかいろいろ仕事手伝ってあげたのにー?」

数多「それに対する賃金を俺はやってねえだろ?」

円周「そういえば何ももらってなかったねー」


 納得したのか円周は視線をフライドチキンの入った箱に移して、手羽部分を取り出して頬張った。
 すると、円周は手羽を咥えたまま「ん?」と疑問符を浮かべる。


数多「どうかしたか?」

円周「いや、よくよく考えたらお仕事手伝ってあげているのに、給料が一銭も出てこないのはおかしくない? 労基に駆け込んだほうがいい?」

数多「何言ってんだお前。ここの衣食住の金は誰が出してやっていると思ってんだ?」


 そういえばそうだね、と円周は再び手に持つ手羽に興味を戻す。
 美味しいねー、とニコニコ笑う円周を見るところから、完全にさっきまでの会話の内容への興味が失せたみたいだった。


数多「あー、俺もメシ食って風呂入って寝るか」


 そう言って数多は携帯端末を開いて、某フードデリバリーサービスのサイトを見ながら今日の夕食を吟味する。
 そんな数多をよそ目に円周は箱から胸部分を取り出し、それを見つめながら唐突に話し始める。


円周「そういえば今日は、よく家の周りで虫が跳んでいるみたいだけど、駆除しといたほうがいい?」

数多「あー、まあ別にいいだろ放っておけ」

円周「なんでー?」

数多「朝蜘蛛とか夜蜘蛛っていう話あるだろ? 今は夜だから害虫さんは放っておけばいいだろっつー話だ」


 その話を聞いて円周は首を傾げながら、


円周「ふーん、数多おじちゃんが迷信めいたものを言うなんて珍しいねー。でもその理論なら夜だから殺さなきゃだよ」

数多「あ? そうだっけか?」

円周「それに蜘蛛はどっちかと言ったら益虫だから、害虫でもないよねー」

数多「あー……」


 数多は携帯端末を操作しながらしばらく黙り込んだ。
 その様子を円周は胸肉をムシャムシャとかじりながら直視する。
 そして数多はふと何かを思いついたかのように、


数多「まあ益虫の対義語が害虫だから、害虫の場合は逆に夜は生かすっつーことで」

円周「なんか適当だなー」


 そう言うと円周は食べ殻だけになった箱を持って、それを捨てるためにキッチンへと歩いていった。


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