662: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/25(土) 23:46:42.50 ID:jaU2C2/Fo
土御門「にゃっははー、まさかアクセラちゃんが、こんなに早くオレたちを見つけ出すとは正直思わなかったぜい!」
一方通行「…………」
グループの面々と一方通行は、先ほどまでいたカラオケボックスの隠れ家から、近くにあるホテルの中の一室へと場所を移していた。
ツインルームだからベッドが二つ並列しており、椅子やソファなども置いてある広々とした部屋だ。
もちろん、この部屋もグループのたくさんある隠れ家の中の一つだった。
部屋を移った理由は、一方通行と黒夜の交戦により結構な騒ぎが起こってしまったからだ。
いくら無関係の一般人が見つけづらい位置に隠れ部屋が存在しているとはいえ、派手な音や振動などがしたら隠し通すのは難しい。
他の人間に存在を悟られたくない暗部組織としては当然の判断だった。
番外個体がベッドに腰掛けながら首元を抑えてゴキリと音を鳴らす。
番外個体「あちゃー、第一位に首元殴られたせいかセレクターが壊れちゃってるじゃん。せっかく自爆して嫌がらせしてやろうと思ったのになー」
そんなことをしながらニヤついた顔で犯人の方へとチラチラと視線を送っていたが、面倒臭いのか一方通行は無視を決め込んだ。
黒夜「その装置がなんなのかは知らないけどさ、両腕を吹っ飛ばされた私よりはマシだと思うけどね。チッ、予備の義手使い切っちまったからまた技術部に作らせねーとなぁ」
黒夜はボロボロにされ、使い物にならなくなった両腕の義手を新しい義手へと取り替え、動作確認のためか手をグーパーしたり、肩をグルグル回したりしていた。
そんなことをしながら犯人の方を獣のような目で睨みつけていたが、やはりこれも面倒臭いのか一方通行は無視を決め込む。
海原「しかし、よくこんな短時間で自分たちを見つけられましたね。一体どういう方法を使ったのですか?」
机に備え付けられた椅子に座りながら海原が興味深そうに質問した。
一方通行は頭をぐしゃっと掻きながら、
一方通行「あーアレだ。録音していた土御門との電話の背景音を解析することでカラオケボックスだと断定して、あとは第七学区中の店舗を回ってっつゥ感じだな」
「まさか一店舗目で見つけられるとは思わなかったがな」と一方通行は自分の運の良さを無意識にアピールする。
海原「なるほど。背景音の解析とはアンチスキルのよく使う技術ですね。アンチスキルにコネでもあったのでしょうか?」
一方通行「イイや。そンなモンは使ってねェ。音声のベクトルを読み取って数値化して分析した。コイツを使ってな」
一方通行は首元の電極を指でコンコンと突く。
土御門「さすが万能ベクトル操作能力だにゃー。相変わらずのチート能力で安心するぜよ」
一方通行「そンなチカラがあったところで、一人の女も守れねェよォじゃただのクソだよ」
海原「しかし、いくらその電話の音声の中にカラオケボックスの情報が入っていたとはいえ、実際にその場にいるとは限らないとは思わなかったのですか?」
「たまたま移動中にカラオケボックスの背景音が入っているかもとは思わなかったのですか」と海原が問いかける。
一方通行「ああ、その電話で土御門が言ってたンだよ。『これからすぐに打ち合わせ』ってな」
海原「なるほど。それですぐそこに隠れ家がある。つまり、カラオケボックスに隠れ家があると断定したのですね」
海原が納得したように微笑む。
一方通行「そっからは簡単だったぜェ? 受付の店員に『グループ』『土御門』『海原』っつゥ単語を言ってやったらよォ、その店員は馬鹿正直に瞳孔を不自然に動かしやがったンだ」
一方通行「おかげでこの建物ン中のどこかにいるってわかったからな。あとはオマエらの臭せェニオイを嗅いで場所を特定するだけでゲームセットだァ」
嘲笑うように一方通行は語る。
それを見ながら土御門がニヤニヤして言う。
土御門「いやー、ほんとお見事お見事! オレの出してやったヒントを全部拾ってくれてるなんて、嬉しすぎてオレっち泣いちゃいそう」
一方通行「……こンな隙を見せるなンざらしくねェと思ってはいたが、やっぱり俺を呼び寄せるためのエサだったか」
土御門「そうそう。真面目にやったらお前なんかがオレたちを見つけられるわけないからにゃー」
一方通行「うっとォしい野郎だ」
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