結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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65: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/07/16(金) 22:03:33.22 ID:LptKL4w+o


鞠亜「しかし卒業って学校のことだったのか。意外だったよ、私が絶対に思い浮かべない答えだ」

芹亜「えっ、普通卒業って言ったらソッチ方面にならない? 少なくとも一般的にはそうだと思うんだけど」

鞠亜「いや、単純に『青春』っていうものから対局の位置にいる姉が、そういうことは絶対言ってこないだろうと思ってたからな」

芹亜「青春真っ盛りのJKに向かって何たることを言っているんだこの妹は?」

鞠亜「ほとんど学校に行かず暗い部屋の中で、ブツブツ言ってるのが青春だっていうのならごめん。私の姉は青春そのものだったよ」

芹亜「……いや、別に引きこもりってわけじゃないけど。引きこもりって言われない程度には学校には行ってるけど」

鞠亜「何でそこで折れちゃうわけ? そこまで来たら引きこもり貫けよ。せっかく引きこもり=青春っていう公式成り立ったのに」

芹亜「どんな公式が成り立とうが、私が卒業したくないという事実には変わりはないのだけど」

鞠亜「……というか卒業したくないのならしなかったらいいじゃん」

芹亜「どゆこと?」

鞠亜「前言ってたじゃん。『私はクラスも分からなければ学年も不明の超絶先輩キャラの巨乳美人女子高生!! つまり、私はどの学年にいてもおかしくないということなのだけど!』って」

鞠亜「よく分からないけどその言葉が本当なら『実は二年生でしたー』って感じに言ってもう一年延長してもらえるってことだろ? というかG死ね」

芹亜「……ふふっ、そうだな。たしかにそう言えばもう一年スクールライフを延長、なんてことも可能だよ……以前までの私ならな」

鞠亜「以前までの? 何か変わったっけ?」

芹亜「私の通う学校には昼休みにたまに学内ラジオというものが放送される」

鞠亜「ラジオぉ? 随分と変わったことをする学校だな」

芹亜「私はそのラジオにゲストとして出演してしまったんだ。一時の気の迷いってヤツだけどな」

鞠亜「たしかに迷いまくってるな。引きこもりがそんな青春染みたことするなんてなあ」

芹亜「そのときのパーソナリティーの娘が二年生の放送部の部長だったんだ。あとは分かるな?」

鞠亜「分かるかっ。意味深なことを言えば何でも通じると思うなよ? あと予測出来ても自分の口では絶対言わないからな!」

芹亜「察しの悪い女子は嫌われるよ。女子高生の会話なんて言葉の裏の意味を常に考えながら繰り広げないと、すぐに置いて行かれてしまうからな」

鞠亜「そんな日本語もまともに使えないヤツに嫌われてもどうでもいいよ。だから早くどうなったのか言いなよ」

芹亜「……言ったんだ。二年生の部長が私のことを『雲川先輩』と。ラジオという公衆の面前でな……」

鞠亜「別にいいんじゃないの? その一言で何かが変わるわけじゃないだろうに」

芹亜「変わるさ。これで私は完全無敵の『三年生の先輩』と認識されてしまったのだけど」

鞠亜「そ、そうなのか?」

芹亜「そうだ。今までは『何となく先輩ってのは知ってるけど何年生なのかわからないなぁ』という認識だった。つまりそれはもしかしたら二年生だったという可能性が残されていたということだけど」

芹亜「しかしここで二年生の部長はハッキリと『先輩』と言ってしまった。それで皆の認識は『ああ、雲川先輩って三年生だったんだ』に変わってしまったんだけど」

鞠亜「でもそれってあくまで認識の話だろ? 自分で二年生と名乗ってしまえば問題ないだろ」

芹亜「それはもう無理だな」

鞠亜「何でさ?」

芹亜「私は部長対して圧倒的な先輩オーラを放ちながら接してしまったんだ……」

鞠亜「……あーそりゃアウトですなあ」

芹亜「アウトなんだよ。これでもう私の女子高生ライフは幕を閉じてしまうんだけど」

鞠亜「あっ、でもまだチャンスはあるぞ! 留年してしまえばまだオッケー!」

芹亜「そんな頭の悪いマネは私のプライドが許さない」

鞠亜「……たしかに、プライドを適度に傷つけることを信条としている私もそれはないわ」

芹亜「ところで私卒業したくないんだけど」

鞠亜「もう諦めろとしか言い様がないね。私みたいな才能あふれる天才でもどうしようもない」





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