結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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643: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 23:18:14.34 ID:loyT3wilo


 電話の向こうの土御門は黙り込んだ。
 数秒間沈黙が続き、騒がしい雑音だけがスピーカーから漏れてくる。
 土御門はため息をつき、声のトーンを落として、


土御門『――無様だな。一方通行』


 吐き捨てるように言った。


一方通行「何だとッ!? オマエ今なン――」

土御門『無様だと言ったんだ。聞こえなかったのか?』


 声を荒げる一方通行を無視して続ける。


土御門『一人でどうにか出来ると思ったか? この学園都市の闇を。たしかにお前は学園都市最強の超能力者(レベル5)だ。が、それだけだ』

土御門『いくら圧倒的なチカラを持っていたとしても、お前は所詮表の住人だということだ。今回の件で十分身に染みただろう』

土御門『そもそもオレは忠告しておいたはずだが? 何があってもこちら側に堕ちて来るな、と』


 忠告、その言葉を聞いて一方通行は反発するように、


一方通行「ふざけるなァ!! オマエ言ったよなァ!? 裏のことは全部オマエらが片付けるってよォ! 俺に余計な手間を掛けさせないようにするってよォ!」

一方通行「だから俺はオマエを信じた! 結標に関わる裏の事情は詮索しなかった! 表の世界でのうのうと過ごした! そしたらこのザマだッ!!」


 一方通行の反論に土御門は冷静な口調で、


土御門『そうだな。それに関してはこちらの落ち度だ、謝ろう。すまん』

一方通行「すまン、だと?」


 たった一言の謝罪、それを聞いて一方通行はガリッと音が鳴るくらい歯噛みする。


一方通行「そンな安い謝罪なンざいらねェンだよ!! 寄越せェ!! オマエらの持っている結標に関する情報をッ!! アイツの居場所をッ!!」

土御門『断る』


 土御門は一言でバッサリと切り捨てた。


土御門『先ほども言っただろ? お前は所詮表の住人。そんなヤツにオレたちが持っている情報を与えたところで何も出来ない。ただ闇雲に動いてくたばるだけだ』

土御門『オレたち『グループ』も結標を追っている。もちろん、ヤツは生かして保護するつもりだ。そのための算段も大方付いている』

土御門『そんな状態でお前なんかに下手に動かれて、オレたちの計画を狂わされても困るんだよ。素人は引っ込んでいろ』


 土御門の言葉を聞いて一方通行は嘲笑うように、


一方通行「ぎゃはっ、信じて任せろってかァ!? 散々偉そォなことォ言ってこンなクソみてェな状況にしやがったオマエらを!? 悪りィがそれが出来るほど俺ァ馬鹿じゃねェ!」

一方通行「俺の方がオマエらみてェな糞の集まりなンかよりよっぽどうまくやれる自信があるねェ。三下どもは引っ込ンでろってンだ!」


 一方通行の挑発じみた発言。
 それが効いたのか効いていないのかわからないが、土御門は声のトーンをもう一段落として、


土御門『まるでお前のほうがうまくやれると言っているようだな?』

一方通行「その通りだ」





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