結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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644: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 23:20:19.89 ID:loyT3wilo


  一方通行の即答を聞き土御門はしばらく考えてから、


土御門『面白い。だったらお前にチャンスをやろう』

一方通行「チャンスだと?」


 土御門の提案に一方通行は眉をしかめた。
 一方通行の返しを気にすることなく土御門は続ける。


土御門『この学園都市にはオレたちグループが使っている隠れ家が大小含めて一〇〇近く存在する。その中のどこかにいるオレたちを見つけ出してみろ』

土御門『そうしたら、オレたちの持っている情報を欲しいだけくれてやろう。タイムリミットはそうだな、今日の日付が変わるまでとしておこうか』


 土御門の言ったことは要するに『かくれんぼ』だ。
 舞台は学園都市。その中のどこかに隠れている土御門たちグループを日付が変わるまでに見つけ出す。
 東京都の中央三分の一を占める広大な土地で、ビル等の建物で入り組んだ場所で、残り時間はもう六時間も無いという無茶苦茶な『かくれんぼ』。
 だが、一方通行はそれを聞いても決して戸惑ったり恐れたりすることなく、ただ笑った。


一方通行「上等だァ。すぐさまに見つ出してェ、全員まとめて愉快なオブジェにしてやるからよォ? 楽しみにしてろォ」

土御門『ふん、威勢のいい小僧だ。まあ、だがお前程度ではこの条件はちと厳しいか。少しヒントをやろう。オレたちは今『第七学区』のどこかにいる』


 学園都市には二三に仕切られた学区が存在する。
 その中で一つに絞られるのは一方通行にとって有益な情報だが、第七学区は学園都市の中でもトップクラスの面積を持つ学区。
 しかも一番学生などの人通りが多い学区でもあるため、難易度的には焼け石に水かもしれない。
 ヒントをもらった一方通行はニタニタした表情のまま、


一方通行「ンだァ? いきなり難易度緩和してくるとは気前がイイねェ? そンなミンチにして欲しいなら面倒臭せェゲームなンてまどろっこしいことせずに、直に場所ォ教えてくれやりゃイイのによォ」

土御門『調子に乗るな。ゲームにならないから言ってやったに過ぎないさ』

一方通行「そォかよ」


 一方通行は適当に返した。


土御門『さて、これからすぐにオレたちは打ち合わせの時間なんだ。そういうわけだから、これ以降お前と電話で話すことはないだろう』

一方通行「ああ、必要ねェな。次に話すときは俺とオマエ直に会って目ェ合わせながら話すンだからなァ」

土御門『では、無駄な悪あがきに、ご武運を』


 土御門は薄っぺらい応援の言葉を吐いて、通話を切った。
 一方通行はふと雨がやんでいることに気付く。どうやら通り雨だったのだろう。
 濡れた白髪をぐしゃりと掻きむしり、ただただ彼は笑った。


――――――





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