結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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640: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 23:10:58.29 ID:loyT3wilo


 上条は心臓のある左胸を拳で叩き、


上条「たしかに言ったんだよ。俺の『心』が、この子は俺が守らなきゃいけない、って!」


 その答えに結びつけるように、上条当麻は結標へと確認する。


上条「結標。お前もそうなんじゃねえのかよ!? お前の中にもそういう人がいるんじゃねえのか!? そいつに対する想いってのがあるんじゃねえのか!?」


 先ほど結標淡希が名前を挙げなかった一人の少年を思い浮かべながら、


上条「もしそうなら、それは『幻想』なんかじゃねえ!! 紛れもないお前の中にある『心』の声だよ!!」


結標「…………」


 結標は黙り込んだまま顔を伏せる。
 何かを考え込むように。何かを隠すように。
 十数秒の間を空けて、結標は囁くように、


結標「……ないわよ」

上条「結標?」


 下げていた視線を上げ、


結標「勝手なこと言ってんじゃないわよ!! 私にはそんなものは存在しない!! 貴方の独りよがりな妄想を押し付けないでよ!!」


 結標の叫びが公園内に響き渡る。
 だが、それを見た上条はなにかに気付く。そして臆することなく結標へ向かう。


上条「……何をそんなに怖がってんだよ、お前」

結標「――――!」


 その言葉で結標の中で何かが切れた。
 目を大きく見開き、犬歯をむき出しにさせながら、手に持った軍用懐中電灯を真横に振った。
 瞬間、上条当麻の居る地面に巨大な影が映る。


上条「…………」


 上条はゆっくりと上空を見上げた。
 そこにあったのはさっきまで公園内に設置されていた物たちだ。
 ゴミ箱。その中に入っていた大量の空き缶。その近くに置いてあったベンチ。
 そして公園に設置されていた自動販売機。

 上条当麻に大量の凶器が降り注ぐ。
 地面に落ちた質量で周辺に風を巻き起こし、砂煙が上がる。

 落下を確認した結標は腰のベルトに軍用懐中電灯を戻し、再び背を向け公園の出口へと向かう。
 背中越しに結標は告げる。


結標「――さよなら上条君。二度と私の前に姿を現さないで」


 ふらふらとした足取りで、結標淡希は暗闇の中へと消えていった。


―――
――






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