638: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 23:06:50.07 ID:loyT3wilo
上条「結標……」
上条当麻は公園の前に立っている。
彼の格好も結標のように傷だらけだった。
切り傷や打撲痕はもちろん、額からは血を垂らしており、高熱の金属か何かで焼かれたのか左足の脛の皮膚がズボンごと焼けただれていた。
そんな状態でも上条当麻は地面に立ち、しっかりと結標のことを見据えている。
上条「探したよ。こんなところにいたんだな」
左足を引きずりながら、上条はゆっくりと前に進む。
結標はそれを制止するように、
結標「私は止まりなさいと言ったわよね? これ以上近づこうものなら、脳天にコイツ打ち込むわよ?」
手に持った金属矢を見せつけながら結標は続ける。
結標「何でこんなところにいるのかしら? 私は関わるなと忠告したはずだけど」
上条「関わるなとは言ってないだろ? たしか追ってきたら刺客とみなすって言っていた」
結標「屁理屈を言わないでちょうだい。どちらも同じ意味よ」
上条「いいや違う。俺はお前を追いかけている刺客だ、って名乗れば追っていいってことになる」
上条の滅茶苦茶な言い分を聞いて結標は鼻で笑った。
結標「なるほどね。つまり、貴方は私を力尽くで取り押さえようとしているってわけか。ふふっ、いいわよ。貴方程度に捕まるような私じゃ――」
上条「そんなつもりはねえよ」
結標の言葉を遮りように上条は否定する。
眉をしかめながら結標は問う。
結標「だったら貴方は何でこんなところにいるのよ? 何で私の目の前に立っているのよ?」
上条「……決まってんだろ」
上条は右手を差し伸べる。
上条「結標、一緒に帰ろう。お前がいたあの場所に。みんながいるあの場所に」
まるで友達に向けるような笑顔で。
上条当麻は彼女を呼びかける。
結標「…………帰る?」
上条「ああ」
顔を下に向けながら、結標は再び問う。
結標「帰るってどこによ? 私にはもう帰る場所なんて残されていない」
スカートのポケットから携帯端末を取り出し、その画面を眺めながら結標は続ける。
結標「みんなって誰よ? 『青髪ピアス』? 『土御門元春』? 『姫神秋沙』? 『吹寄制理』? 『芳川桔梗』? 『黄泉川愛穂』? 『打ち止め』?」
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