結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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632: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:55:14.33 ID:loyT3wilo


黒子「――うっ、これは……」


 白井黒子は結標淡希がいるかもしれない場所であり、上条当麻との待ち合わせ場所でもある櫻井通信機器開発所の周辺へとたどり着いていた。
 そこはまるで別世界のようだと黒子は顔をしかめる。
 敷地内の庭には血と思われる赤い液体が至るところに飛び散っており、建物は焼け焦げた跡や壊されたような跡がところどころに見える。


黒子(十中八九暗部組織と呼ばれる連中の仕業でしょうね。初春の予想は大当たりですの)


 黒子は辺りを見回すが上条当麻らしき人物は見当たらない。
 状況が状況のため、尻尾巻いて逃げていったのだろうと判断するのが妥当だ。
 それなら彼は今、安全地帯で事なきを得ていることだろう。
 だが、黒子はその判断を下すことが出来なかった。


黒子(あの類人猿がそんな利口な判断が出来るとは到底思えませんの。絶対あの中に単身で突入などという馬鹿丸出しなことをやっているに決まっていますわ)


 黒子は呆れたような表情で、物陰から施設の建物を眺める。
 上条当麻があの中に入っていると仮定をした場合、自分はどうするべきか。
 白井黒子は風紀委員(ジャッジメント)だ。しかしジャッジメントには怪しいからと言って無断で施設へ突入していいなどという権限はない。
 許可もされていないあの建物に入るということは、扱い的にはコソドロとまったく同じになるだろう。
 そんな状態で施設に入って職員にでも見つかりなどしたら、即アンチスキルに通報されてもおかしくはない。


黒子(とはいえ研究所は今異常事態に陥っている。それを理由に突入すれば始末書程度で済ませることもできるか……?)


 などと考えながら施設の周辺を観察しているとある光景が目に入った。
 施設の入り口の前に一台の黒塗りのワンボックスカーが停まっていて、その周りに六つの人影が見える。
 人影たちの背丈やたたずまいからして男。よく見えないが車の中にも何人か人が乗っている様子だった。


黒子(ここの職員……ではありませんわよね? 格好からして)


 一人の格好を例にするとニット帽にナイロン素材のジャケットに下はジーパン。
 男たちの格好は皆似たような感じのコーディネートをしているところから、この研究所の職員とは到底思えなかった。


黒子(……となると)


 黒子は深呼吸をして息を整える。
 そして、物陰から飛び出した。


黒子「ジャッジメントですの! そこの入り口付近でたむろしている方々? このような場所で一体何をしているか話を聞かせてもらいますわよ?」


 「ジャッジメントだと!?」「なんでこんなところにいやがるんだよ!?」。
 男たちのうろたえている様子を見て黒子は拍子抜けする。
 暗部組織の連中だと思い警戒していたが、ジャッジメントが目の前に立つだけであの様子だと大した勢力ではないようだ。
 そう思って黒子は彼らに近づこうとする。
 しかし、

 六人の男が一斉に拳銃をこちら向けてきたことで、黒子の足が止まる。





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