結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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627: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:45:09.10 ID:loyT3wilo


 櫻井通信機器開発所の二号棟に爆発音が鳴り響く。
 一度だけではない。何度も何度も、花火大会の花火の打ち上がるような頻度で。


フレンダ(ふっふっふっ、いい子いい子。ちゃーんと私の思惑通り動いてくれて大助かりって訳よ)


 フレンダは二号棟の地下にある非常用の出口に繋がる通路にいた。
 このような大きな施設には避難のときに使われる通路は複数あり、この地下通路もその一つだった。
 地下だからかあちこちに人間が丸まれば入りそうな太いパイプが張り巡らされており、かくれんぼをすれば鬼が泣いて家に帰るくらい暗くて入り組んでいる。
 そんな通路の道沿いにあるパイプの後ろに隠れ、フレンダはポータルテレビを見ながら携帯端末を操作していた。

 ポータルテレビに映っているのはフレンダがこの施設内に仕掛けた監視カメラの映像。
 安物で画質は悪いがその場所の状況を見るだけなら十分な性能のものだ。
 その映像に映っているのはもちろん、ターゲットである結標淡希の姿。


フレンダ(ん? ちょっとルート外れようとしてるなー)


 結標がT字路の通路を左に曲がったのを見てフレンダは眉をひそめた。
 すかさずフレンダは手に持つ携帯端末を操作する。


 ドゴォン!!


 再び二号棟に爆発音が鳴り響く。
 すると、監視カメラに先ほどのT字路に戻って来てもう一つの道へと走る結標の姿が映った。

 フレンダがやっているのは麦野のような誘導。
 監視カメラで逐一結標の動向を探り、自分の決めている道筋から外れようとしたときに、その先に仕掛けた爆弾を爆破して道を塞いで誘導する。
 それだけをしていた場合、頭のキレる者なら誘導されていると気付くかもしれないが、フレンダにはその点は抜かりはなかった。
 正規の通路にも先ほど使ったような遠隔操作型の爆弾はもちろん、センサー式の自動爆弾を仕掛けており、それらを逐一爆破させることでカモフラージュさせている。
 今回の彼女たちの任務は結標淡希を生きて回収することだ。
 そのため今回使用している爆弾は威力は抑えられており、爆風が体に少しだけ掠るように設置場所にもこだわっている。


フレンダ(ま、でも結局こんな面倒臭い設定しなくても、座標移動なら全力で殺しに行っても突破されそうな気はする訳なんだけどねー)


 ポータルテレビを見て携帯端末を操作する。そんな作業をしながらフレンダはあることを考えていた。
 それは座標移動、結標淡希のことだ。
 アイテムのメンバーの中で、フレンダは結標本人と比較的に接点がある方だった。


フレンダ(最初に会ったのは、クリスマスのとき浜面と一緒にケーキを買いに行ったときだったっけ?)


 去年のクリスマスイブの時にアイテムはクリスマスパーティーを開催した。
 女四人と奴隷一人という寂しいパーティーだったがそれなりに楽しかった記憶がある。
 そのとき『よく見たらケーキがないじゃん』という麦野の言葉で、誰かと浜面がケーキを買いに行くという展開になった。
 ジャンケンに負けたフレンダは罰ゲームとして、浜面仕上と一緒にケーキ屋にクリスマスケーキを買いに行った。
 そのケーキ屋で売り子のバイトをしていたのが結標淡希、彼女だった。
 ミニスカサンタ服という寒そうなコスプレをしていた姿を思い出す。
 あのときは同行していた浜面の知り合いということで適当に挨拶を交わして終わり。そんな感じだったような気がする。





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