結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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628: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:49:22.32 ID:loyT3wilo


フレンダ(次に会ったのがスキー場での雪合戦大会のときかな?)


 今年の一月月初、一般的な学生からしたら冬休みという時期にアイテムは『第二〇学区にあるスキー場で開催される雪合戦大会に出場しろ』という依頼を受けていた。
 そのとき結標は、学園都市の最強の超能力者(レベル5)一方通行と、アイテムと同等の暗部組織グループのリーダーである土御門という少年と組んで、同じ大会に出場していた。
 初めて彼女と会ったときは、彼女が座標移動(ムーブポイント)という強力なチカラを持っていることは知らなかった。
 だからこそ、フレンダは初めて結標の能力を見たときは恐怖のようなものを覚えていたと記憶していた。
 結局、アイテムチームと一方通行チームが準決勝で当たって、いろいろあってアイテムチームは敗北。
 まあ、勝つことが目的ではなかったとは言え、少し悔しい思いをしたな、とフレンダは思い出す。


フレンダ(で、最後に会ったのが焼き芋大会のとき、か)


 三月の中旬頃、今から三週間くらい前の話。
 フレンダは町内会主催の焼き芋大会へ妹のフレメアと一緒に焼き芋大会に参加していた。
 そのときにもフレンダは結標と出会っていた。
 彼女は先ほども名前が出た一方通行と、打ち止めと呼ばれる少女と一緒に来ていた。
 一方通行曰く、来られなくなった主催側の人の代理で来たとかそんなことを言っていた。
 今まで挨拶程度の付き合いでしかなかったフレンダと結標。
 初めてそこでまともな会話らしい会話をしたような気がしていた。
 そこでフレンダが抱いた結標に対する感想は、料理センスがおかしい以外至って普通の善人だ、というものだった。

 それだけに、フレンダがこの裏の世界で結標淡希の敵として立ちはだかっている状況に、少し寂しさのような感情を抱いていた。


フレンダ(何で今さらこんな汚い世界に堕ちてきたのか知らないけど、まあ私からしたらそんな事情知ったこっちゃないって訳なんだけどね)


 フレンダはポータルテレビに映る監視映像を確認する。
 そろそろか、そう呟いてフレンダは座っていた状態から中腰の状態へと移行した。


フレンダ(ここから先は一本道。あの速さだとあと二〇秒くらいでポイントに到達、ってところかな)


 フレンダはスカートの中からリモコンを取り出す。
 このリモコンは、目の前にあるパイプ管を挟んだ向こう側の通路に設置してある爆弾と繋がっているもの。
 専用のリモコンを使用している理由は、絶対に間違えるわけにはいかないため、携帯端末での制御から切り離しているからだ。

 あの爆弾はもちろんフレンダが自らの手で設定した特別製だ。
 爆発の指向性を調整してあり、普通の人間が適切な位置で爆発を受ければ両足が吹き飛ぶような調整をしている。
 ただ、この適切な位置というのが曲者で、爆発のタイミングが早すぎたり遅すぎたりすれば、威力が足りずに火傷程度で終わってしまうかもしれない。
 だからこそ、フレンダはこうやって直接目視できる位置に待機して、爆破スイッチを握っているのだ。

 フレンダの狙いはこうだ。
 専用の爆弾で結標の両足を奪うことで移動手段をなくす。
 しかし、彼女にはテレポートという移動手段がまだ残っている。が、問題なし。
 空間移動能力者は少し動揺しただけで、まともに演算が出来なくなってしまうなんて話は、暗部の世界では常識だ。
 両足を失うということは、今まで味わったことのないほどの激痛を味わうということでもある。
 そんな状態で平然と思考できる人間などいるわけがない。
 仮に足を失ったことによる痛みでショック死した場合でも、フレンダは問題ないと思っている。
 傷ついているのは脚部だけなので、傷つけるなと言われている脳髄と脊髄を傷つける確率はほぼゼロ。
 我ながら完璧な作戦だ、とフレンダは笑みを浮かべる。


フレンダ(さて、そろそろターゲットがここを通る時間ね……)


 物陰に息を潜めるように隠れ、フレンダはリモコンを構える。
 足音が聞こえてきた。すぐそこに結標が来ている。
 そして、

 フレンダの視界に結標淡希の姿映った。





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