結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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623: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:38:21.98 ID:loyT3wilo


 滝壺は突然咳き込み言葉を中断させた。
 彼女の能力は『体晶』という特殊な薬品を摂取することにより起こる暴走、それによって使用できるチカラだ。
 だが、それは彼女の身体に大きな負担がかかるというデメリットがある。
 それを知っている麦野は、


麦野「滝壺。もういいわ。あとは適当に休んどきなさい」

滝壺『でも』

麦野「これが最後の仕事じゃないのよ? だから、こんなところで潰れてもらっては困るのよ。わかる?」

滝壺『……うん。わかった』


 滝壺の了承の返事を聞いて、麦野は端末のマイクを切って懐にしまう。
 麦野の目はロビーの入り口のある方向へ向いた。


麦野「さて、待たせたわね。見たところここの職員でも警備会社のヤツでもないみたいだけど、あなたは一体何者かしら?」


 麦野の視線の先には一人の少年が立っていた。
 ツンツンした短い黒髪を頭に生やした少年。それ以外これと言った特徴はない。
 こちらをじっと見つめてくるその瞳からは、明らかな怒りのような感情が感じられる。
 少年の口が開く。


上条「……上条、いやそんな名前なんて名乗ったところで意味ねえよな」


 上条と名乗る少年は続ける。


上条「テメェだな。さっきからビームみてえなのをバカスカ撃ってやがるヤツは」

麦野「はぁ? ビームだぁ? あれは『粒機波形高速砲』っていう正式名称があるのよ? そんなダセェ名前で呼ぶのはやめてもらってもいいかしら?」

上条「名前なんてどうでもいいんだよ!」


 上条はバッサリと切り捨てる。


上条「テメェはそのチカラを使って一体誰を攻撃してんだよ?」

麦野「別に。適当に壁に撃って遊んでいただけよ?」

上条「とぼけてんじゃねえよ!! テメェら結標のことを狙ってやがる組織とかいうヤツの一員だろ!? あのチカラの矛先は結標に向けられていたんじゃねえのか!?」


 上条の口から結標淡希の名前が出てきて、麦野は眉をピクリと動かした。
 こいつは結標淡希のことを知っているし、結標淡希がターゲットとなって狙われているという事実を知っている。
 そして、その現場にこうして現れて麦野の前に立ちはだかっている。
 このことから同じ暗部組織の人間か、と思った。が、あんな善人臭いガキが暗部の人間か? という疑問が浮かんだ。


麦野「……アンタ、座標移動と知り合い?」

上条「友達だよ」


 即答した。
 暗部の世界には全く似つかわしくない言葉が出てきたことに麦野は笑いをこぼす。





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