615: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:19:41.39 ID:loyT3wilo
結標「何っ!?」
突然地面を転がってきた球体を見て結標の表情が強ばる。
その形から結標は手榴弾のような爆発物を警戒した。もしそうなら一秒もしないうちに爆発するかもしれない。
このタイミングで自身のテレポートでの回避は間に合わない、そう判断した結標は腕を交差させ、上半身を守りながら無理やり後ろへ飛んだ。
しかし、
爆発などしなかった。
代わりに球体からキイィン、という甲高い音が通路に鳴り響いた。
例えるなら黒板を引っ掻いた音を無理やり高音にしたような不快な音。
結標(……? 何よのこの変な音は? 爆弾じゃなかったわけ?)
何が起こっているのか理解できず、混乱する結標に凄まじい速度で接近する影が一つ。
絹旗「残念、その判断は超失敗ですよ!」
絹旗最愛。丈の短いニットのワンピースを着た中学生くらいの少女が。
身をかがめながら拳を握りしめて、結標に突進するように近付く。
結標「ッ、今度は誰よ!?」
結標の反射神経はそれに反応することが出来た。
自身をテレポートすることによってこの少女の接近を回避することができるだろう。
彼女は頭の中でテレポートするための演算式を――
結標「――えっ!?」
立てられない。
あまりにも予想外の状況で結標の動きが止まる。
絹旗はその隙を決して見逃さない。
握りしめた拳に自分のスピードと体重を乗せて、結標淡希の腹部へ突き刺した。
結標「あっ、がァ……!?」
強力な一撃で結標の体がくの字型になって後方へ吹き飛んだ。
そのまま彼女は通路の床を転がり、積み上げらたダンボールの山へ体ごと突っ込んだ。
ダンボールの山は雪崩が起きるように崩れ去って結標の体に降りかかる。
絹旗「そこそこ鍛えているみたいですね。腹をそのまま突き破れると超思ったんですけど。まあ、これで気絶してくれていると超助かるんですが」
絹旗はダンボールが散乱した場所へと歩いて近付く。
集まって出来た小さなダンボールの塊が崩れた。
結標「ごほっ、ごほぉっ、おぇ、うっ!?」
結標淡希が胃の中の物を吐き出しながら、ゆっくりと立ち上がった。
それを見て絹旗は舌打ちをする。
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