結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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613: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:15:52.39 ID:loyT3wilo


 麦野沈利は施設の一階にあるロビーのようなところにいた。
 来客が待ち合いの為に座るようなソファに腰掛けながら、片手に携帯端末を持って耳に当てている。
 携帯端末から滝壺の声が聞こえてきた。


滝壺『――のポイントに砲撃』

麦野「りょーかい」


 軽く返事をして麦野は斜め上の方向へ手をかざす。
 掌から青白い電子線が一直線に発射された。
 発射されてから五秒後くらいに、また携帯端末から滝壺の声が聞こえる。


滝壺『予定通り座標移動はポイントαに向けて移動中。あと三回の砲撃で到達する予定』


 彼女たち『アイテム』が今行っているのは、結標淡希を生かして捕獲するための作戦の一つだ。
 麦野の役割は誘導。
 滝壺が能力追跡で敵を捕捉し、ターゲットである結標を目的地のポイントへ移動させるために、適切な位置へ砲撃して誘導するというもの。
 結標はテレポートを使用して間の障害物を無視して立体的に移動する。
 それを利用して彼女に移動して欲しい方向とは逆の位置へわざと外すように砲撃して移動させるという具合だ。

 誘導先のポイントαには絹旗、ポイントβにはフレンダが待ち受けている。
 そこに誘われた結標を各ポイントにいる彼女たちが、それぞれ持っている手段で結標を捕縛するという作戦だ。
 α・βと並んでいることからわかるように、絹旗が失敗した場合の予備プランとしてフレンダは待機している。

 今回の作戦、超能力者(レベル5)である麦野が誘導というサポートに徹しているのは理由がある。
 麦野の能力『原子崩し(メルトダウナー)』は、人を殺したり物を破壊したりすることに関しては最強格のチカラだ。
 しかし、今回のようなターゲットを生かしたまま捕獲するという条件が付いてしまうと、途端にこのチカラは使いづらいものとなってしまう。
 この能力は出力が大きい分正確な位置を狙って狙撃するような器用なことをするのが難しい。
 結標はテレポートという回避や逃げることに関しては最高位のチカラを持っている。
 そんな相手をこの原子崩しで手足を奪って捕獲、なんてことをするのは困難なことだ。

 一応、今回の命令は『死んでいても脳髄と脊髄が無事ならセーフ』みたいな感じなのだが、麦野のチカラではそれすらあっさり破壊してしまうかもしれない。
 そうなった場合は任務失敗どころか、違約金を取られて一方的にこちらが損する状況になってもおかしくない。
 だがら麦野は、今回の作戦のメインを絹旗とフレンダに任せることを決めた。


滝壺『――きぬはた。次の砲撃後、約三〇秒後に結標がポイントαに到達する予定。準備して』

絹旗『了解です。任せてください、私のところで超決めてやりますよ』

フレンダ『気楽にやっちゃってくれていいよ絹旗。後ろには私が控えてるから安心して失敗してくれればいいって訳よ』

絹旗『フレンダでは超失敗しそうなんで、そういうわけにはいきませんね』

フレンダ『にゃにぃー!?』

麦野「はいはい仕事中にペチャクチャ余計なこと喋らない。さて、最後の砲撃行くわよー?」


 そう言って麦野は滝壺に指定されたポイントへ向けて粒機波形高速砲を放った。
 三〇秒後、結標淡希と絹旗最愛の戦いが始まるだろう。


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