611: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:12:01.28 ID:loyT3wilo
麦野「…………」
麦野は部屋の中を見回した。
結標淡希の姿がないことから、この部屋ではないどこかへ転移して逃げたのだろうと予測する。
それを確認して麦野は特にイラついたり、悔しがるような様子を見せることなかった。
計画通りと言わんばかりの薄ら笑いのまま部屋の外の廊下へと目を向ける。
麦野「滝壺? ちゃんと記録できた?」
滝壺「――問題ない。座標移動(ムーブポイント)のAIM拡散力場の記録は終了した」
麦野の視線の先には滝壺理后がいた。
彼女の様子はいつもと違っている。
ぼーっとして眠たそうにしている彼女の目が、大きく見開いていて瞳には光が灯っていた。
『能力追跡(AIMストーカー)』。一度記録したAIM拡散力場を持つ能力者を、例え地球の裏側に逃げようが捕捉し続ける能力。
それを発揮しているという証拠だ。
滝壺は携帯端末を口に近づける。
滝壺「座標移動は現在この建物の七階廊下西側を移動中。パターンCが有効だと判断する」
端末のスピーカーから了解と二人分の声が聞こえた。
その声を確認した麦野は、
麦野「パターンCね。じゃ、私も所定の位置に移動するかー。浜面? このまま滝壺を車のところまで護衛して連れていきなさいよ」
浜面「お、おう。わかってるよ」
滝壺の後ろにいた浜面仕上からの返事を聞き、麦野は青白い光の玉を一つ手の中に浮かべてからそれを真下の床へ放った。
玉は一筋の光線となり、床を食い破るように突き刺さる。
麦野の放つ光線は『粒機波形高速砲』という正式名称で、簡単に言うなら障害物を全てぶち抜く電子ビーム砲。
電子線は床貫通してから下の階の床も貫通し、それが地下一階の床まで貫いた。
床は直径五メートルのくらいの大穴を開け、下の階へ簡単に降りられる移動手段となる。
麦野「じゃ、ポイントへ着いたら連絡するからよろしくー」
軽く言って麦野は目の前に空いた大穴を飛び降り、下の階へと移動した。
これから『アイテム』による狩りが始まる。
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