610: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/18(土) 22:10:38.33 ID:loyT3wilo
麦野「おいおい、まさかこの超能力者(レベル5)第四位、麦野沈利の顔が忘れられているなんて思いもしなかったにゃーん?」
結標「第四位……貴女が?」
麦野「たしかに会ったのは、雪合戦大会とかいうクソみてえなお遊びしているときだけだし、そのときも一言たりとも会話してなかったけどさ」
麦野の言った通り彼女たちは一度だけ同じ場所に居合わせたことがある。
ただ、それは結標淡希が記憶を失っているときのことであり、記憶を取り戻している今の彼女には知る由もなかった。
麦野「ま、いいや、そんなこと」
本当にどうでも良さそうに麦野は話を切り上げた。
麦野「今私はアンタの前に立ちはだかっているってわけだけど、何となくその理由は察しているわよね?」
そう言われて、結標は不敵な笑みを浮かべる。
結標「そうね。大方、あちこちの研究施設を荒らしている犯人を殺してこいとか言われて、ずっと私にまとわりついて来ているヤツらの中の一人、ってところかしら?」
麦野「いいや。違う」
バッサリと切り捨て、麦野は続ける。
麦野「私はアンタを生け捕りにして連れてこいって命令をされているわ。そんなチンケなコソドロ事件なんて関係ない」
結標「生け捕り?」
麦野「襲った施設で研究データとか盗みまくってんだろ? それなら思い当たる節の一つや二つ、思いつくんじゃないかしら?」
結標「…………」
結標は眉をひそめた。手の中を見る。
そこには先ほど機器に差し込みデータのコピーに使ったメモリースティックがあった。
機器が攻撃をされ炎上しようとするときも、結標は画面から目を離さなかった。
だから、彼女は画面にコピーが完了した文章を見逃さなかった。
だから、メモリースティックをアポートしメモリースティックを回収することが出来た。
メモリースティックを懐にしまい込み、そのまま腰のベルトに取り付けられた軍用懐中電灯に手を当てる。
そんな様子を気にすることなく麦野は、
麦野「そういうわけで、私はアンタを殺せないわけ? だから大人しく付いてきてくれればこちらも手を上げるつもりもないし、最低限の安全は保証してあげるわ。けど――」
引き裂くような笑みを浮かべ、結標へ忠告する。
麦野「少しでも反抗する意思や逃走しようとする動きが見えれば、手足の一本や二本吹っ飛ばされても文句言えないってことなんだけど、そこんとこわかってんだよなぁ!? 座標移動ォ!!」
結標は軍用懐中電灯を抜き、横に振る。同時に麦野は後ろへ一歩下がる。
シュン、と空気を裂く音が鳴り、三本の金属矢が現れた。麦野の右胸部、右横腹、左足首、があった場所へ。
そのまま金属矢はカランという音とともに床へ落下した。
それを見て麦野があざ笑う。
麦野「この期に及んで急所を狙わないなんて、まさかテメェ……人も殺したことがないとかいう処女発言するつもりじゃねェだろうなぁ!? アッハッハッ!!」
麦野の周囲に青白い光の玉が複数浮かび上がった。
あれはやばい、と結標は直感する。
青白い光の玉たちは一斉に電子の線となり、結標淡希へ向かってまっすぐ伸びる。
電子線が結標へ到達する前に彼女の姿が消えた。
自身の体をテレポートさせることで麦野のレベル5のチカラを回避したのだ。
モニター室へいるのは麦野とその他倒れている有象無象だけとなった。
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