結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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594: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 23:55:41.60 ID:EQdefISBo


一方通行「……何だよ、これ」


 中に書かれていた内容は、簡単に言えば『空間移動中継装置(テレポーテーション)』というおぞましい装置についての詳細と、この計画が発足してから現在に至るまでの経緯だ。
 一方通行がまったく知らない情報も書かれていれば、一方通行がよく知る情報も書かれてあった。
 彼がこれを一読して思ったことは一つ。

 まあ、これくらいの闇は学園都市だったら当然存在するだろう。

 ただ、それだけだった。
 一方通行は以前『絶対能力者進化計画(レベル6シフト)』という暗部の実験に関わっていたこともあるし、それ以前にも聞いただけで反吐が出るような実験にも関わっていた。
 そのためこの程度の計画が立案されていてもおかしくはないと予想はしていたし、自分たちがのうのうと生活している裏で、何かが蠢いているとは感づいてはいた。
 だから、今さらこのようなものを見たところで驚きもしなかった。
 だが、


一方通行「…………ッ!!」


 一方通行は怒りで、奥歯が砕けてしまうかと思うくらいの力で歯を食いしばっていた。 

 予想はしていた。
 おかしくはないし、当然だとも思っていた。
 驚愕もしなかった。
 なのに、一方通行の中ではドス黒い憤怒の感情が渦巻いていた。

 一方通行はなぜこんな感情が生まれてきたのか、自分では理解できなかった。

 人間をまるでパソコンパーツのように扱う計画が進行しているからか?
 そのパーツに結標淡希を使おうとしているからか?
 この計画の為に自分が利用されていたことを知ったからか?
 自分だけではなく自分の守るべき存在である少女や、その同居人たちも利用されていたからか?
 さらに言うなら、同じ学校へ通う友人たちも利用されていたからか?
 この約半年間の間にあった全ての思い出というものは、この計画した者たちによって与えられたものだということに気付いてしまったからか?
 自分が初めて明確に好意というものを抱くことができたのも、この者たち計画というお膳立てがあったからではないかと気付いてしまったからか?
 学園都市最強の超能力者(レベル5)も、所詮はこの者たちの手のひらの上で踊るお人形さんだということに気付いてしまったからか?

 一方通行はわからなかった。自分が何に対して激昂しているのかが。

 そんな中、一方通行は携帯端末のディスプレイの中からある単語が目に入った。

 『試作空間移動中継装置(テレポーテーション・プロトタイプ)』。

 一方通行は反射的にそのファイルを開く。
 内容は、計画の予行演習のテスト品ということで作成した擬似的な空間移動中継装置についてのレポートだった。
 中を読み進めてわかったことだが、特殊素材で作った複数の電磁パネルを裏から配線で繋げることで、パネル間でテレポートが自在に可能という物。
 つまり、先ほど戦闘した駆動鎧達が使っていた物のことが書かれていた。

 ということは、この建物の中のどこかにこの装置が存在しているということになる。





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