結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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585: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 23:39:11.67 ID:EQdefISBo


 代償。
 その重苦しい言葉を聞き黒子は息を飲み込んだ。


初春「あくまで最悪なケースの話ですが、こちらの位置情報等のパーソナルデータが相手に抜かれるかもしれません」

黒子「貴女いろいろな国のサーバーを経由して、そういう逆探知の対策を取っていると言っていませんでしたか?」

初春「それだと処理速度が落ちてしまうんですよ。今回のハッキングは一刻を争う作業です。だから、そういうのは抜きで直接やります」

黒子「しかしそれだと」

初春「そうです。仮にデータを抜かれたら風紀委員(ジャッジメント)の、一七七支部の皆さんに迷惑を掛けてしまうことになります。ですが」


 初春は何かを言いかけたまま自分のリュックを開く。
 その中から一台のノートパソコンを取り出した。これは初春が個人で使用している私物だ。


初春「これは私が個人的にやろうとしていることです。ハッキングもこれでやりますので、抜かれたとしても私個人のデータです」

初春「ですので、それが原因で一七七支部自体が糾弾される事態になりましたら、遠慮なく私を売っちゃってください」


 そう言って初春は微笑んだ。
 それに対して黒子は一言言った。


黒子「ふざけんじゃねえですの」

初春「えっ?」

黒子「貴女自分で言っていることわかっていますの? 相手は暗部組織。もしそんなことになったら、貴女の身に何が起こるかわからないわけではありませんよね?」

初春「……そうですね。わかっています」

黒子「でしたら、そんな馬鹿なことなどせずに別の方法を――」

初春「ありませんよ。他に方法なんて」


 黒子が言い切る前に初春は否定する。
 少女の冷静な口調からしてその言葉は真実なのだろう。
 だからこそ、黒子は問いかける。


黒子「どうして貴女はそこまでやりますの? ここでさじを投げても誰も文句を言わない立場だというのに、なぜそこまでの危険を犯してまでこの件に関わろうとしますの?」


 黒子にされた論理的な問いを聞き、初春は目を丸くさせた。
 そのあと小さく笑いながら、


初春「……ふふっ、すみません。私にもなんでかわかりません」

黒子「はぁ?」


 初春飾利から出た予想外な答えに思わず黒子は素っ頓狂な声を上げてしまった。





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