結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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581: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 23:28:58.87 ID:EQdefISBo


 閉鎖された研究施設の地下にあった工場のような場所。
 その中の一角で一方通行は息を荒げながら立っていた。


一方通行「――クソがッ!! ちょこまかちょこまかとうっとォしいィ!!」


 一方通行が空間移動(テレポート)という超能力を使用する一二機の赤い駆動鎧との戦いを始めて、既に五分経過していた。
 つまり、彼には時間がほとんど残されていないということだ。
 五分間という貴重な時間を使って減らせた敵の数はゼロ。
 その事実に一方通行は額に汗を浮かべていた。


一方通行(どォやって倒すッ!? 思い切って天井を崩して生き埋めにしてやるかァ?)


 地上には使われていない廃墟とした研究所の建物がある。
 天井を崩せばそれらが二〇メートル上空から落下してくるということなので、相当な能力者ではないと切り抜けられない状況へと持っていけるだろう。
 だが、


一方通行(それは最終手段だ。もしそンなことをしてこの地下施設全体が崩壊しちまったら、情報やらなンやらが全部下敷きになるってことだからな)


 そんなことになったら今自分がわざわざこうやって施設に潜り込んで戦っている意味がない。
 そのため、一方通行はその手段を取ることを避けていた。
 
 焦燥している少年の後方に一つの大きな人影が現れる。
 赤色に塗装された駆動鎧一二機のうちの一機だ。
 ヤツらはこうやって急に出てきてはおちょくるように攻撃して、こちらが仕掛ければテレポートして離れるヒットアンドアウェイ戦法を取っていた。
 一方通行のチカラは強力だ。その手が駆動鎧に触れるだけで機能停止に陥られるほどに。
 だが、それは当たらなければ意味のないチカラ。そのためこの相手は相性が最悪と言えるだろう。


一方通行「ぐゥっ、くたばりやがれクソ野郎がァああああああああああああああああッ!!」


 どうせテレポートで逃げられるだろう。しかしわかっていても攻撃しないわけにはいかない。
 半ばやけくそ気味に一方通行は地面に転がっていたレンチを蹴り飛ばし、駆動鎧に目掛けて発射する。
 駆動鎧へそれが到達する三メートルほど前。転移して逃げるだろうタイミング。
 そのとき、なぜか駆動鎧はいつもとは違う動きを見せた。


駆動鎧『――なっ、しまった!! 転移できなッ!?』


 駆動鎧は転移せずに焦ったような様子で床を見ていた。
 すなわちそれは、一方通行が放った一撃が直撃するということだ。

 ガンッ!!

 という金属音を上げながらレンチは駆動鎧の頭部へと直撃する。
 重要な装置か何かを頭部に積んでいたのかわからないが、機能停止して駆動鎧は動かなくなった。


一方通行(……どォいうことだ。ヤツはなぜテレポートして逃げなかった?)


 一方通行は状況の分析を始める。
 今自分が行った攻撃は金属で出来た小物を弾丸のような速度で飛ばすベクトル操作。
 この戦いの中でも同じようなことは何十回とやってきた。ヤツらはテレポートを使ってそれを容易に回避してきた実績がある。
 なのに、コイツは回避せずに攻撃を受け入れた。焦った様子を見る限り、あえて攻撃を受けたということはないだろう。
 つまり、





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