580: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 23:26:43.22 ID:EQdefISBo
第一〇学区のとあるマンション。その中の一室に大勢の人影があった。
リビングに当たる部分には武装した男たちが一〇人以上。
その隣にある部屋に男一人女二人の三人組がいた。
熊のような大男、佐久が携帯端末を片手に電話の向こうの相手に喋りかける。
佐久「山手。そちらの状況は?」
山手『問題なしだ。大事なモンは全部積んで離脱した。もちろん、例の置き土産は残してきたがな』
山手と呼ばれる男の声の後ろからエンジン音のようなものが聞こえてくる。
彼は現在車か何かの車輌に乗っているようだ。
佐久「ご苦労。これでヤツがくたばってくれるのが一番だが、少しでも心が折れてくれれば成功といったところか」
佐久の隣にいる筋肉質な長身な女、手塩が腕を組みながら質問する。
手塩「本当に、あの程度のもので、心が折れるのか?」
佐久「さあな? まあ心が折れるというより動揺してくれれば、って言ったほうがいいか。そうなればヤツも冷静な行動ができなくなりこちらも動きやすくなる」
佐久が質問に答えたことを電話越しに確認した山手は会話を続ける。
山手『あと例の情報封鎖の件だ。こちらからメディアに手を回したから、これ以後ニュースに流れるとかはないだろうよ』
佐久「ネット関係は?」
山手『そいつは今から向かうところだ。ついでにわかったことだが、今回の情報を無理やり開示させたヤツらは俺たちと同程度の権限を持っている組織だ』
どこのどいつだかはわからなかったがな、と山手は付け加える。
佐久「だろうな。おそらく情報を封鎖したことはそいつらもいずれ気付くだろう。用心はしておけ」
山手『了解』
佐久「手塩。アンチスキルどものほうはどうだ?」
手塩「問題ない。やつらが今できることは、せいぜい襲われた後の、研究所の警備くらい。ターゲットを捕縛するために、大部隊を派遣なんてことは、ないわ」
特に表情を変えることなく、冷静な口調で返答する。
手塩「一人、座標移動について騒いでいる、アンチスキルの女がいるみたいだが、所詮は個人。対して影響はないだろう」
佐久「例の警備の件は?」
手塩「すでに、当日に配置されるアンチスキルは、我々の息のかかった者たちに、なることは確定しているよ」
佐久「そうか。では山手、情報封鎖の件は頼むぞ。手塩は引き続きアンチスキル関連の監視だ」
そう言われて電話越しの山手と手塩は了解と一言返事し、山手は通話を切り、手塩は五、六人ほどリビングにいた男たちを連れて部屋を出ていった。
それを見届けると佐久は同じ部屋にいたもうひとりの少女。白を基調としたセーラー服を着た鉄網に話かける。
佐久「鉄網。これから例の外部組織の代表と直接接触する。お前も付いてこい」
鉄網「了解した」
そう一言だけ返して鉄網は部屋の外へと向かう佐久の後ろをついていく。
そのあとを残った男たちがゾロゾロとついていった。
佐久「……さて、散々今までこき使ってくれやがったクズどもめ。『ブロック』による反逆までの時間は残り一二時間は切った。せいぜい首でも洗って待ってやがれ」
彼らの所属する組織の名前『ブロック』。
グループ、スクール、アイテム、メンバー。それらと同等の権限を持った暗部組織の一つである。
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