574: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 23:12:58.06 ID:EQdefISBo
初春「――ッ!? こ、これは」
黒子と初春は監視カメラの情報の監視を続けていた。
先程まで一緒に居た美琴は、本来の役目でもある打ち止めの面倒を見るために、応接スペースに行き佐天と一緒に遊んでいる。
黒子「どうかなさいましたの?」
黒子は大きく目を見開いている初春を見て、その視線の先へ目を向ける。
そこには学園都市全体の地図が映っているディスプレイがあり、その中にある第七学区の南東部分に赤い点の集合があった。
黒子「もしや結標淡希に動きがありましたの?」
初春「いえ、そうじゃありません。くっ、やられたっ……!」
初春が苦虫を噛み潰したような表情をする。
そんな彼女を見て、黒子はもう一度地図の映っているディスプレイに目を向けた。
そしてその原因に気付く。
黒子「監視カメラの偽装情報が複数箇所にある……?」
彼女の言う通りディスプレイに映っている地図には点の集合が複数あった。
最初に気付いた第七学区の南東部分、第一〇学区の中心部分、第一七学区の東部。
計三箇所の地域に監視カメラの映像を操作された形跡が残されていた。
初春「この展開を予想していなかったわけではありませんが、いざやられると辛いものがありますね」
黒子「いろいろな地域に偽装情報をばら撒き撹乱させるのが目的ですわね」
初春「一度に作成できる偽装映像の数は一地域分が限界だと踏んでいたのが仇になりました」
黒子「一地域分の物を三つに分散したのではありませんの?」
初春「いえ、作りの粗い偽装映像しか抽出しないとはいえ、一箇所にある点の数は今までの一箇所分とほぼ同等の数はあります」
ツールの性能を上げたか同じツールを三つに増やしたか。
初春は次々と予想を口にするがいくら考えても答えがわかるわけではない。
黒子「この中のどれかが本物で、そこには結標がいる可能性があるってことですわよね? 正解が分かればそこに向かうことが出来ますのに、歯がゆいですわね」
初春「断言は出来ませんがこの中に本物はないと思いますよ?」
黒子「そうなんですの?」
初春「結標さんはほとんど研究所周辺のカメラに映り込んでいます。つまり、襲撃するときだけ顔を表に出しているということです」
初春はマウスを操作して三箇所それぞれを拡大表示し、周辺情報を見えるようにした。
初春「見ての通り周囲一〇キロ以内に研究施設は存在しません。今までは遠くても二、三キロ以内でした」
黒子「つまり、これらのダミーは我々を混乱させるためだけに作られたものというわけですわね?」
初春「そうです。が、その可能性が一〇〇パーセントというわけではないので、さっきも言ったとおり断定はできませんが……」
黒子「しかし、そう考えねば相手の思うつぼになってしまいますの」
初春「幸いなのは、相手がまだ私たちが襲撃犯=結標淡希という前提で動いているということに気付いていないことですね」
もし気付いていたら、研究所三箇所にダミーを撒くなどしてくるはずだろう。
初春は冷や汗のようなものを額に浮かべながら、
初春「仮に相手がそれに気付いてしまったら、今までの方法では正確の情報を掴むのが困難になってしまいます」
黒子「……何か策はありますの?」
初春「今の所お手上げですねー残念ながら。けど、どうにか出来ないか考えてはみますよ!」
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