結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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573: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 23:09:49.42 ID:EQdefISBo


 櫻井通信機器開発所。一般的には通信機器の開発をしていると公表されている施設だ。
 一〇階建てのビルを、しかも一号棟と二号棟の合わせて二棟をそのまま与えられていることから、この研究機関の大きさが伺える。
 その付近に一台の黒塗りのワンボックスカーが停車されていた。


滝壺「……なかなか動きがないね」


 滝壺がぼーっと車の窓から外を見ながら呟く。


絹旗「というか座標移動(ムーブポイント)の動き自体超なくなってますよ? 新井植物科学研襲撃のニュースから超更新がないところから見るに」


 座席にもたれ掛かりながら、絹旗が携帯端末を操作してニュースサイトを確認する。
 何度更新をしても変わらず同じニュースがトップに上がった。


フレンダ「もしかしてこれって、ターゲットが欲しいモノ手に入れちゃったってことじゃない?」

麦野「そうかもね」


 麦野が頬杖を付き、窓の外の景色を眺めながらフレンダの問いかけに適当に返した。


フレンダ「ちょ、それってマズイんじゃない!? このままじゃ私たち、タバコ臭い車でドライブだけして任務終了報酬なしってことになる訳だけど!」

麦野「うるせーな。まだそうと決まったわけじゃないでしょ。そういう言葉は一晩明けてから言いやがれ」

絹旗「たしかにそうですね。こういう破壊工作がやりやすいのは超夜中です。少なくとも夜が明けるまで様子を超見ないと判断がつきませんね」

フレンダ「えぇー? もしかして最悪こんな場所でこんな車の中で一晩を明かさなきゃいけないって訳? 嘘でしょ?」

麦野「ま、そうならないことをせいぜい祈ることね。神様に、いやこの場合は座標移動様、にかな?」


 その言葉を聞いてフレンダはくたびれた表情をする。本当に疲れたのか座席をめいいっぱい後ろに倒してから寝転んだ。
 やれやれ、と言った感じに麦野は視線を運転席の方へと移す。


麦野「つーわけで浜面? そろそろティータイムの時間だから適当にお菓子と飲み物買ってきて」


 今まで会話に参加せずハンドルに顔を突っ伏していた浜面は、ゆっくりと顔を上げる。
 はいはい、と適当に返事をして車のパーキングブレーキを解除し、シフトレバーをDに持っていく。


麦野「は? 何やってんのよ浜面?」

浜面「何って車の発進準備をしてんだけど?」

麦野「誰が車使って買いに行けっつったよ?」

浜面「はあ!? おま、近くのコンビニまで徒歩二〇分くらいかかんだぞ!? それを歩いていけって言うのかよ!」


 ぎゃーぎゃー吠える浜面を麦野は舌打ちしてから睨みつける。
 その迫力に思わず浜面はひっ、と声を上げた。


麦野「私らがここ離れている間にターゲットがここを襲撃しにきたら駄目でしょ? だから、ここで待機しとかなきゃいけないってわけ」

浜面「だ、だったらお前らだけ車から降りて待機しとけばいいだろ?」

 その発言を聞き、女性陣が一斉に浜面仕上を見る。


麦野「は? 何で私たちがこんなクソみてえな道端で突っ立ってなきゃいけねえんだ?」

フレンダ「そうだそうだ麦野の言う通り! 結局、そんなことで仕事に使う大事な体力を使うわけにはいかないって訳よ」

絹旗「アスファルトの上って立っているだけでも超体力持っていかれますからね。私たちがそれで消費する体力と浜面がコンビニまで往復する体力、どっちが超重要か考えるまでもないですよね?」

滝壺「大丈夫だよはまづら。そんなはまづらを私は応援してるから」


 ひでえ女たちだ。
 そう思いながら浜面は車を降り、近くのコンビニがある方向へ走った。

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