結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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568: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 22:59:00.74 ID:EQdefISBo


 とある高層ビルの中にある一室。
 テーブルといくつかのイス、観葉植物が数本置いてあるだけの簡素な部屋。
 暗部組織『スクール』の複数ある隠れ家の中の一つ。
 そこに一人の少女がイスへ腰を掛けて携帯端末で通話していた。


海美「――つまり、私たちの工作がバレ始めている、ってコトかしら?」


 ホステスが着るような丈の短いピンク色のドレスを着た中学生くらいの少女、心理定規(メジャーハート)こと獄彩海美が問いかける。


誉望『始めているってよりたぶんもうバレてますね』


 通話先の相手は誉望万化。
 彼女と同じくスクールに所属する少年だ。


誉望『こっちが情報操作した監視カメラがある周辺エリア、そこに対するアクセス数が明らかに増加しているんスよ。それってつまりそういうことっスよね?』

海美「どうやってこちらが操作した監視カメラを割り出したのかしらね?」

誉望『さあ? 俺の隠蔽工作にミスはないとは思ってますから、おそらくこのツールに何か穴があったとしか思えないスね』

海美「ああ、例の組織から共同戦線を張る代わりにもらったものね。あそこはそういうの専門の組織だった気がするから、不備があるとは思えないけど」

誉望『どうせあれっスよ。試作品を俺たちに押し付けてデータを取ろう、っつー魂胆スよ』

海美「ま、いずれにしろ今ウチに勝負を挑んできているハッカーさんは、相当の技術を持っているってことよね?」

羨望『そうスね。一体どこの誰だか』

海美「わからないの? アクセスログから逆探知するとかして」

羨望『あー、一応やってはみたんですが時間がかかりすぎそう、っつーか無理っぽいスね』


 バツの悪そうに誉望は諦めた感じに、


誉望『何か複数の海外サーバーを経由してアクセスしてるみたいなんスよ。しかも一つ一つのサーバーの中にダミーをいくつも仕込ませて』

誉望『そんなもんに時間をかけてもあれだし、下手にやってこっちの情報すっぱ抜かれたらたまったもんじゃねえスからね』


 海美は空いた手を顎に当て考える。


海美「たしかにそれは賢明ね。学園都市は外への情報流出対策に内外からSランクのセキュリティーを張っているわ。海外サーバーを利用しているということは、つまりそれらを掻い潜っているということ」


 相手が悪すぎるわ、と付言する。


羨望『でもどうするんスか? このままいけば次座標移動が監視カメラに映れば、いくらこっちがダミーを張ろうが向こうは居場所を補足するってことになりますよ?』

海美「……そうね」

??「なーにコソコソ話してんだ心理定規」


 電話をする海美の後ろから声がかかった。
 少女は携帯電話を耳に当てたまま振り返る。





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