566: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 22:54:25.80 ID:EQdefISBo
人を馬鹿にしたような目で見てくる女子中学生二人を尻目に、再びリピートされ続ける映像に目を向ける。
何度も眺めているうちに上条はあることに気付く。
上条(……あれ? 何かBの映像おかしくねえか? よく見たら女の子が車道側を歩いているように見えるんだけど)
上条の思っている通りBの映像に映っている少女は車道側を歩いていた。
Aの映像とは逆向きに歩道を映しているからなかなか気付けなかったのだろう。
上条(AとBの映像の中で入れ替わったのか? いや、待てよ? その場合Cの映像でまた同じ位置に戻ったってことにならねえか?)
上条の言ったことを実践した場合、AからBへ移り変わるタイミングで男女が位置を入れ替わり、BからCのタイミングで元の位置に戻ったということになる。
ハッキリ言ってそんなことをするのは不自然だ。狙ってやらないとそんな変な挙動が起きることはまずないだろう。
上条はBの映像は何者かに差し替えられたもの、という先ほどの初春の言葉を思い出していた。
上条「つまり、このダミー映像を作ったやつが男女の位置をミスって配置してしまった、ってことか?」
初春「はい! 正解です!」
初春が正解者に向かってにっこりと笑った。
初春「このような矛盾した映像が差し替えられたモノの中にいくつか見られました。もちろん、ここ数時間で差し替えられたものにも」
黒子「しかし、このようなところに穴があるとは、相手方も思ったより間抜けのようですので」
初春「いえ。おそらくこの差し替え用の映像はツールかなにかで機械的に作ったものだと思います。こんなものを人力でやるとしたら難易度と手間が一気に上がりますからね」
美琴「そっか。機械だからこそ矛盾点ってやつに気付かずに映像を作ってしまった。差し替えているやつも差し替える作業でいっぱいいっぱいだからそれに気付けかなかった」
初春「そうです。なので、リアルタイムで監視カメラ映像を監視していき、差し替えられた映像を見つけることができれば、その近くに結標さんがいるということがわかります」
美琴「……ちょっと待って初春さん」
美琴がなにかに気付いたように止める。
美琴「今リアルタイムにカメラの映像を監視するって言ったけど、学園都市の中には何十万単位で監視カメラが存在するのよ? それを全部一人で解析するつもり?」
初春「あっ、その点は大丈夫です。目には目を理論で機械相手にはこちらも機械を使います」
そう言うと初春は片手でキーボードを走らせる。
すると画面に『違和感さがすくん』というアプリが表示された。
初春「こんなこともあろうかと午前中に作ったものです。先ほどのような簡単な矛盾点程度なら自動で抽出してくれるツールですよ」
「それでも漏れはありますので、結局私が直に見て回らないといけないことは変わりませんけどね」と初春は付け加える。
黒子「貴女、そんなものを作っていたなんて最初からこの件に関わる気満々でしたのね?」
初春「はい。白井さんと同じですよ」
黒子「ッ」
黒子が体をピクリとさせる。
初春「知ってますよ? あれから結標さんに関する資料を片っ端から漁っていたのを」
美琴「そうだったのね」
黒子「……たまたま! たまたまですの!」
照れくさそうにほのかに頬を紅潮させ、黒子は目を逸らした。
その様子を見て微笑む他少女二人を見て「もう!」と声を上げる。
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