結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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565: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/11(土) 22:51:51.09 ID:EQdefISBo


 はい、と返事をして初春はキーボードを叩く。
 するとデスクの上にある八つのディスプレイが一気にある映像に差し替わる。


黒子「これは……昨晩の事件のときの映像ですの?」

初春「そうです。私たちが苦渋を味わされた忌々しい映像ですねー」


 軽い感じで言ってはいるが初春の目の中は笑っていなかった。


初春「一番わかり易いやつだとそうですねー、この左上のディスプレイを見てください」


 ディスプレイに映っていたのは三人の人物だった。
 一人はサラリーマン風の男。バス停の前でバスを待っている様子だ
 もう二人は男女の学生だった。仲良く談笑しながら画面から見て手前へ向かって歩いていく。
 車道側を男子学生が歩いているところから見て、気配りのできる少年なんだとわかる。


上条「……? なにかこれおかしいのか?」

初春「いえ、これだけではおかしいかどうかは判断できません。この映像をAの映像として、次にその右隣の画面を見てください」


 先ほどの映像と似たような風景のものだった。
 ところどころ細部が違うためおそらく同じ場所にある別の監視カメラなのだろう。
 その証拠に先ほど映像に映っている歩道の向きは逆になっている。
 そのため男女二人組が左右同じ位置で奥に向かって、同じように談笑しながら歩いている。
 しかし、その映像には結標らしき人物が歩道から路地裏に入るシーンが映っていた


初春「このカメラはAの映像を撮ったカメラと同じ場所にあるものです。この二つは死角を消すためにV字に隣接して設置されています」

美琴「なるほどね。つまりこのカメラは、さっきのカメラが映している場所から見て隣の位置を映しているわけか」

初春「そうです。ちなみにこの映像は見て分かる通り、結標さんが映っているので何者かに差し替えられた偽の映像です」

黒子「でしょうね。事実この時間帯では結標本人は別の場所にいたはずですから」

初春「では、この映像をBとしてさらに右隣の画面も見てください」


 映っていたのはやはり同じような背景の映像だった。
 角度が大幅に変わっているが先ほどのカメラたちと同じ歩道を映していることが分かる。
 その映像にも相変わらず車道側に男、歩道側に女という並びで同じ男女が歩いていた。


初春「このカメラも設置場所は違いますが、先ほどの結標さんが映っていたカメラをカバーする形で映像を撮るようになっています」

黒子「それはなんとなくわかりますわね。三つとも同じ二人組が歩いていますので。で、これがどうかしたのでしょうか?」

初春「わかりませんか? この映像をCとして、ABCの映像を時系列通り順番に見てみるとある違和感が浮かび上がってくるんですよ?」


 そう言われて三人は三つの画面を凝視する。
 繰り返し流れる映像を見るうちに上条はなんだか目が回るような気分になってきた。
 そんな少年に構わず少女二人は、


美琴「……なるほど。そういうことね」

黒子「……はい。わかりましたわ」

上条「えっ、マジで?」


 呆気を取られる上条。
 早抜け方式のクイズで他の人が次々と抜けていく中、答えがわからず孤立していく解答者はこういう気分なのだろう。


美琴「アンタこんなのもわからないわけ?」

黒子「しょうがないですわよお姉様。見るからしてこのような間違い探しみたいなものが不得意そうな感じですし」

上条「おのれ! 馬鹿にしやがって! 見てろよ!」





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