結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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555: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/04(土) 23:26:29.19 ID:WGxiRQYAo


 フレンダフレンダフレンダと自分の名前を連呼する同僚たち三人に向かって、フレンダは人差し指を口元に持っていき黙れのジェスチャーをする。
 もちろん意図がわからない三人は揃って首を傾げた。
 そんなことをしているうちに、店員に席を案内されていた少女二人は斜向かいの席に座った。
 席の配置の都合上、黒髪ロングの少女の目がこちらに向いた状態で。


フレンダ(ひ、非常にマズイ状況って訳よ……)


 フレンダは出来る限り見えないようにしようと、対面に座る絹旗の陰に隠れようと身をかがめる。
 だが、その動作が逆に目立ってしまったようで、黒髪ロングの少女の視線が明らかにこちらを向いた。
 そのとき、


 ピピピピピピピッ!!


 甲高い電子音が鳴った。麦野沈利の携帯端末の着信音だ。
 麦野は端末を手に取り、通話モードに切り替える。


麦野「はい」

浜面『ワンボックス一台かっぱらってきたぜ。いま表につけてるから早く来いよ』

麦野「タイムはニ分五二秒。ギリギリだけどよく出来ました浜面君♪」

浜面『ま、マジかあぶなっ!?』


 どうやら下っ端浜面が移動手段の準備が出来た電話だったようだ。
 その聞き耳を立てていたフレンダがバッ、と立ち上がる。


フレンダ「じゃ、私は先に行っておくって訳よ! それじゃっ!」

麦野「あ? ちょ、フレンダ――」


 麦野の制止を耳にも止めず、フレンダは競歩の選手じゃないかと思うくらいの早足で出口へ向かい、駆け抜けた。


麦野「……? 何やってんだアイツ?」

滝壺「さあ? お腹でも痛かったんじゃない?」

絹旗「いや、それならそこにあるトイレに超駆け込むでしょ」


 フレンダの奇行に疑問符を浮かべながらも、他のアイテムのメンツも彼女の後を追って店外へ出ていった。


―――
――






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