結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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551: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/04(土) 23:21:51.84 ID:WGxiRQYAo


 お昼時。とあるファミレスの一角にある六人掛けのボックス席に四人の少女たちが座っていた。
 麦野沈利。フレンダ=セイヴェルン。絹旗最愛。滝壺理后。
 学園都市の非公式の暗部組織『アイテム』の顔触れだ。


麦野「……やっぱりコンビニのヤツは微妙ね。チッ、無難に鮭弁にしとけばよかったか」


 透明のプラスチック容器に入ったサーモンのマリネサラダを箸でかき混ぜながら、麦野はぼやく。
 横に乱雑に置いてあるビニール袋と彼女のセリフからして、これはどこかのコンビニで購入されたものなのだろう。


フレンダ「結局それって、この前行った高級レストランで同じようなもの食べちゃったせいじゃない? 自分の中の期待値が高くなっているみたいな」


 それに比べてサバ缶はいつ食べても期待通りの味で最高って訳よ、と付け加えながら、フォークに刺した鯖のカレー煮を口に運ぶフレンダ。
 彼女の対面の席に座っている絹旗が、フライドチキンを片手に呆れ顔で見ながら、


絹旗「よくもまあ、そんな毎日毎日サバ缶ばかり食べて超飽きませんね? 私なら三日も同じものを食べたら超嫌気が差しますが」

フレンダ「大抵の人って主食としてご飯やパンを毎日食べてるじゃん? つまり、そういうことって訳よ」

絹旗「その魚類を主食として超カテゴライズしてもいいのか果てしなく疑問ですが。滝壺さんはどう思います?」

滝壺「……北北東から信号が来てる」


 絹旗の左の席にだらんとした感じに座っている滝壺が呟く。
 その眠そうな瞳の焦点はどこに合わせているのか傍から見てもわからなかった。


絹旗「……うん、滝壺さんもこう言っていることだし、サバが主食なのは超ありえませんよ」

フレンダ「えっ!? 今の言葉の中のどこにそんな意味が隠されていたの!?」


 そんなコントのような会話を繰り広げている席に一人の少年が近付いてくる。
 片手に二つずつ、合計四つのグラスを手にしドリンクバーから戻ってきた、アイテムの下部組織という名のパシリをやっている浜面仕上だ。


浜面「ほら、ドリンクバーのおかわり持ってきたぞ」

麦野「遅せーぞ浜面。飲み物汲んでくるのにどんだけ時間かけてんだよ」

浜面「しょうがねえだろ? 今は飲食店のピークタイムだ。ドリンクバーだってそりゃ人が並ぶよ」


 弁解をしながら浜面はグラスを少女たちの目の前に置いていく。
 置かれたグラスを手に取り、麦野はそれを一口飲んでから開口する。


麦野「さて、下僕が帰ってきたところで例の件の話を始めるとしましょうか」

絹旗「例の件というのは座標移動(ムーブポイント)の超捕獲任務のことでしょうか?」

麦野「そうそう。正直あんま乗り気じゃないけど、指令を受け取った以上やらないといけないわけだからね」

浜面「座標移動って結標の姉さんのことだよな? 何であの人を捕まえろなんていう指令が降りてきたんだ?」

麦野「さあね。ヤツは空間移動能力者(テレポーター)の中じゃずば抜けて優秀な人材みたいだし、それを実験動物にしたいっつーヤツが上層部にいるってことじゃない?」

浜面「実験動物って……ひでえ話だな」


 浜面はその言葉に嫌悪感を抱き、苦虫を噛み潰したような顔した。
 しかし、そんなことを思っている人は他にはおらず、滞りなく会話は進行する





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