結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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545: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/12/04(土) 23:10:58.97 ID:WGxiRQYAo


 ソファに座っている少年の隣に黒子は座り、傷の確認をする。


黒子(錆びた釘が刺さっておりますわね。出血しているのは無理に抜こうとして傷口を広げたとかそんなところでしょうか。とにかく釘を抜いて傷口を洗浄する必要がありますわね)


 黒子が見た通り、上条の肩には服の上から錆びた釘が突き刺さっていた。
 釘の頭部が見えているところから、先端部分は体内だ。まるでトンカチで叩かれたかのようだった。
 一体、何をしていたらこんな怪我を負えるのか、と黒子は疑問に思った。


黒子「初春!!」


 黒子はパーティションの向こう側へ向けて声をかけた。
 その声が聞こえたのか、パーティションの端から覗き込むように初春が出てきた。
 
 
初春「な、なんでしょうか……って上条さんじゃないですか!?」

黒子「初春。怪我人の応急処置をしますわ。今すぐ応急セットと新品のタオル何枚か持ってきてくださる?」

初春「は、はい! 了解です!」


 そう返事すると、初春は頼まれたものを準備するために部屋の中を小走りに動き始める。


黒子「待っている間、上に着ている衣服を脱いでいただきますわ」

上条「あっ、うん。じゃあ」

黒子「いえ。脱ぐときに傷口に刺さった釘に接触して、傷口が広がってはいけませんので貴方は何もしなくてよろしいですわ」


 失礼、そう一言告げて黒子は上条の衣服に触れる。
 シュン、という音を立て上半身の衣服が消え、ソファの前にあるテーブルへと移動した。


美琴「なっ、えっ、なっ、ちょっ、ちょっとぉ!?」

佐天「おっ、おうふっ、たくましい身体ですね……」

打ち止め「うわー、あの人とはぜんぜん違うや、ってミサカはミサカは率直な感想を述べてみる」

黒子「貴女たち怪我人に失礼ですわよ?」


 隣にいた少女たちが、三者三様のリアクションをしながらその風景を眺めていた。
 それに対して黒子は呆れ顔で注意する。
 
 
初春「白井さん! 準備ができました!」


 そう言って初春はテレポートされた衣服をどけて、そこに救急セットと封の開いていない袋入タオルを一〇枚ほどをテーブルの上に置いた。


黒子「では早速釘を抜きます。抜くときの痛みはないとは思いますが、一気に血が吹き出てきますので覚悟だけはしておいてください」

上条「ああ、やってくれ」


 黒子は上条の左肩に刺さった釘に触れ、テレポートを行使する。
 左肩から釘が消え、少女が言ったように栓を失った傷口からは大量の血液が溢れ出てきた。





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