519: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2021/11/28(日) 00:15:37.14 ID:MJMUKdI8o
阿部食品サンプル研究所第三支部。
第一〇学区にある、文字通り次世代の食品サンプルを開発ために尽力している研究施設。
ここが開発した『本物と全く同じ感触で同じ匂いのする食品サンプル』は学園都市の中でも一時期話題になったことがある。
そんな研究所の三つ目の支部のとある一室に、初老の研究員と若い研究員がいた。
初老「よし、今日はこんなところでいいだろう」
若い「ふわぁー、もう日付変わってんじゃないすか。こりゃ今日も晩酌できそうにねえや」
若い方の研究員がボヤきながら帰り支度をする。
初老「別に飲みたければ飲めばいいだろう。明日は午後からの予定だろ?」
若い「さすがにそんな元気はないっすよ。俺もおっさんになっちまったすねー」
初老「まだ二十代だろうに」
若い「サーセン。じゃ、お疲れ様でーす」
部屋の自動ドアが開いたあと、若い研究員は適当な挨拶をして部屋の外へ出ていった。
初老「……素晴らしいな。これだけのデータが集まれば十分実用可能なレベルだ」
ディスプレイを見ながら笑みを浮かべる初老の研究員。
クククク、と絶えず不気味な笑いを発していた。
初老「さて、私もそろそろ帰るとするか」
そうつぶやいたとき、後ろから自動ドアの開く音がした。
初老「なんだ忘れ物か? まったく相変わらず不注意なヤツだ」
研究員は画面を見たまま小言を言う。
先ほどまで一緒にいた若い研究員が戻ってきたと思ったのだろう。
しかし。
??「――そうね。忘れ物、というより探し物があると言ったほうが正確かしら」
研究員の背後から聞こえてきた声はよく知る若い男の声ではなかった。
少女の声。この研究所ではまったく聞くことのない声だった。
初老「だ、誰だ!?」
初老の研究員は声の主を確認するために、椅子ごと体を後ろに勢いよく向けた。
そこには一人の少女が立っていた。
赤髪を二つに結んで背中に流しており、腰に巻いたベルトに警棒のようなものをぶら下げている。
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